Microsoftでは、VB 6.0の無償サポートも3月末で終了するという方針を変えていないが、開発者の不満を解消するプランを用意したという。これは、開発者が製品のライフサイクルを通じて2回の無償サポートを受けられるというもの。
MicrosoftのVisual Basic担当プロダクトマネジャー、ジェイ・ロクシー氏は、「われわれは、開発者が自身のスキルをVB .NETおよびVB 2005に移行するのを支援するという目的に投資を集中するつもりだ」と話す。
このため、今年下半期にリリース予定のVB 2005には、VB 6.0開発者の間で人気があった「Edit and Continue」機能が備えられる。Microsoftによると、この機能は、実行中のプログラムを一時的に停止し、コードを修正した上で実行を再開することを可能にするもので、プログラムを中止/再起動する必要はない。
VB 2005には、「RegFree COM(Component Object Model)」と呼ばれる再利用機能も組み込まれる。これは、既存のCOMコントロール(VB 6.0で開発したものを含む)をマシンに登録しなくても使用できるようにするという機能。これにより開発者は、VB 6.0に付随する開発上の問題を避けながら、機能の再利用が行えるようになる、とMicrosoftは説明する。
なお、MicrosoftではVB 6.0の無償ランタイムサポートは継続する予定であり、今後もセキュリティ対策用のパッチなどを提供する。ただし、ツールの問題などを修正するためのパッチの提供は中止される。
JSFを推進するSunも、開発者の移行をめぐって同様の問題を抱えている。Sunでは、Web開発に適した手法としてJSFを推進しているが、同技術の前には、Software FoundationのJavaアプリケーション開発用オープンソースフレームワーク「Struts」や、OpenSymphonyのWeb用Javaアプリケーション開発フレームワーク「WebWork」などの競争相手が控えている(関連特集記事)。
オープンソースのJava開発フレームワークであるWebWorkの開発者のジェーソン・カレイラ氏によると、JSFは複雑さを覆い隠しすぎているきらいがあり、経験豊富なプログラマーにとっては、その点が興醒めになるかもしれないという。
「本格派のプログラマーは、そういった仕事のやり方を好まない」とカレイラ氏。
JSFとWebWorkとの違いについて、カレイラ氏は「WebWorkでは、テンプレートを編集するという方法によって、Webページ上にコンポーネントを配置し、それらをカスタマイズすることができる。しかしJSFでこの機能を実現するには、新しいレンダラークラスを記述する必要がある」と説明する。
JSFとStrutsの両方の開発に携わってきたSunのシニアスタッフエンジニア、クレイグ・マクラナハン氏によると、JSFの目的は、APIを通じてJavaによるWeb開発の手法の共通化を進めることにあるという。
「われわれはコンポーネント市場の確立を目指しており、そのためにはだれもが共通に利用できる単一のAPIが必要なのだ」とマクラナハン氏は話す。こういったコンポーネントには、ボタンやテキストフィールドのほか、ページの部分的更新のためにバックグラウンドでサーバとの通信を実行するためのコンポーネントなども含まれるという。
マクラナハン氏は、JSFでは、Visual Basicになじみのある社内開発者などを引きつけるのを狙っていることを認めている。しかし同氏によると、開発者はJSFのコンポーネントを利用しながら、ほかのフレームワーク上で開発した既存アプリケーションへの投資を維持することができるという。
「しかし新規の開発はJSF上で行うべきだ。JSFはメインストリームの標準になりつつあるからだ」とマクラナハン氏は話す。
マクラナハン氏は、「Shale」のコードネームで呼ばれる次世代のStrutsを提案したという。これは既存環境に存在するJSFをベースとする。同氏は、JSFに対する抵抗があることを認めており、「新しいAPIには必ず抵抗があるものだ」と話している。
一方Sunは、Javaプラットフォームの強化を目指すJava Community Process(JCP)の改善にも目を向けており、昨年話題となった透明性、参加、費用効果性といったテーマに引き続き取り組む考えだ。
JCPプロセスを推進するSunによると、この1年間で、Java Specification Request(JSR)のレビューに要する期間を200日から125日に短縮したとしている。またSunが統括するJSRの割合も以前より減少しており、JSPのほかのメンバーに指導的役割を与えている。JCPにおけるパブリックフィードバックも増えたという。
SunとMicrosoftの両社にとって、それぞれの開発技術の成功は大多数の開発者を満足させることを意味してきた。このため、ある程度の不満が生じるのは無理からぬことだと言えよう。
.NETとJavaが進歩するのに伴い、Javaのオープンソース化を求める人々のように、過激な改革を望む開発者も出てくれば、Visual Basic 6.0の帰依者のように、変化が急激すぎると考える人々も出てくるだろう。SunおよびMicrosoftは今後、難しいバランス取りを要求されることになりそうだ。
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