Symantecと合併後のユーティリティの行き先VERITAS VISION 2005 Report

サンフランシスコで「VERITAS VISION 2005」が開幕した。ブルームCEOはユーザーに対し、「Symantecとの合併はユーティリティ戦略の先にあるもの」と説明した。

» 2005年04月26日 10時17分 公開
[堀哲也,ITmedia]

 米Symantecとの統合を控える米Veritas Software。ストレージとセキュリティという異なるエリアに位置してきた両社だが、データの完全性と可用性の確保するソリューションを提供できると足並みをそろえた。今年の年次ユーザーカンファレンス「VERITAS VISION 2005」は、Symantecとの合併後の方向性を知る上で重要なものになりそうだ。

 「ユーティリティコンピューティングを実現する上で、次に必要になるのはセキュリティのパラダイムだ」――サンフランシスコで開かれているVERITAS VISION 2005で、ゲイリー・ブルームCEOは詰め掛けたユーザーに対し、Symantecとの統合の理由をこう説明した。

ゲイリー・ブルームCEO 「ウォールストリートは、勝ち組同士の合併という経験がないので迷っている」とも基調講演後の記者会見で話したブルームCEO

 同社は、長年力を注いできたストレージソフトを足がかりに、社内のITインフラを電気やガスのように使えるようする、ユーティリティコンピューティング戦略を推し進めてきた。近年の度重なる買収により、Veritasの守備範囲はサーバ・アプリケーションの管理領域に至っており、これらを原動力にヘテロジニアス環境でのユーティリティコンピューティングの実現を目指してきた。

 しかし、2004年12月、晴天の霹靂のごとくSymantecによるVeritasの買収が発表された。Symantecとの合併によって、Veritas製品の方向性が失われることも懸念されたが、ブルームCEOは、あくまでユーティリティコンピューティング戦略の延長線上にあると強調した。

 同氏は「情報そのものがビジネスとなった」と語り、情報を扱うITインフラがセキュリティ機能を備え、管理できることが大きな課題となっている点を指摘。Veritasがユーティリティ戦略を推進する上でもセキュリティは避けて通れないという。

 「ユーティリティ基盤に、ネットワークを介して多くのデバイスがつながる。アクセスが増えればリスクは高まる。(ユーティリティコンピューティングの)次に必要なビルディングブロックは、セキュリティ。Symantecのビジョンは、当社の戦略の上にセキュリティをかぶせたようなものだ」と同氏。

 Veritasのユーティリティ環境が企業にもたらすメリットは、「管理コストの削減」といえる。運用管理にかかるコストを抑えることで、緊縮化されたIT予算の中でも、よりビジネスに密接した新たな開発に予算を当てることができる。だが一方で、災害や規制、そしてウイルスなど、とITインフラに対するリスクも増大しており、企業にとってはこれらのバランスも考えなければならない重要事項となっている。そういった点でも、新生Symantecは可用性とセキュリティをバランス良く提供できるベンダーになれる可能性をも秘める。

 また、ブルームCEOは勝ち組同士の合併である点を強調。「業界のリーダー同士の合併は、市場に最もいいものを提供するためのものだ。ストレージがセキュリティのコンセプトを取り込んでいく。ここにはすばらしいチャンスがある。Veritasの製品はきちっと守られるので、安心してほしい」と話した。

 基調講演の半分を使い、Symantecとの合併のメリットを強調した形となったが、具体的な展望といえるものは明らかにされなかった。米国時間4月27日には、Symentecのジョン・トンプソンCEOが基調講演を行う。

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