XPを追い越し、Tigerに迫るLonghorn(2/2 ページ)

» 2005年06月07日 23時38分 公開
[John Rizzo,eWEEK]
eWEEK
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 Windows XPでもインデックス化は行われるが、メタデータを使用しないファイルだけを対象としており、動作も遅い。Microsoftの新しいファイルシステム「WinFS」は、Spotlightよりも洗練された技術であり、より低いレベルに組み込まれ、ユーザーが検索用のメタデータをカスタマイズできるとされていた。しかしMicrosoftは既に、LonghornからWinFSを外すことを決定した。同技術がWindowsに搭載されるのは、何年も先のことになりそうだ。

ユーザーインタフェース

 Microsoftは、Longhornのユーザーインタフェース(Microsoftの呼び方では「ユーザーエクスペリエンス」)である「Aero」についてはあまり明らかにしていない。現時点で分かっているのは、Aeroは多数の3Dエレメントを使用し、表面的にはMac OS Xに類似しているということだ。しかしTigerには見られない魅力的な趣向も備えている。

 最初のバージョン以来、Mac OS Xではファイルを開かなくてもグラフィックファイルの内容を確認することが可能となっている。コラム表示でグラフィックファイルをクリックすれば、プレビューが表示されるのだ。Windows XPにはグラフィックファイルの内容を確認する機能はないが、Longhornにはその機能が搭載される。

 Longhornでは、ファイルアイコンの代わりにファイルのプレビューが表示される。これらは、Photoshopで作成されるサムネールのような単純なものではない。ファイルが変更されるとプレビュー表示も更新されるのだ。Longhornのプレビューのサイズは128X128ピクセルで、Tigerの64X64ピクセルよりも大きい。

 Mac OSは以前からハードディスクの空き容量を表示しているが、Longhornでは[マイコンピュータ]ウィンドウのバーにこの情報が表示される。

 Longhornはこういった魅力的な特徴を備えるものの、Windows XPに対するTigerの最大のアドバンテージは、タスクを実行したり情報を検索したりするのに必要なステップの数が全般的に少ないということである。

 Windows XPでは、[スタート]メニューのサブメニューが多数の項目であふれ返ってしまうことがあり、フォルダ構造をたどってアプリケーションにアクセスするほうが簡単だという場合も多い。Longhornの[スタート]メニューではスクロール領域が設けられるため、階層型メニューを使用する必要はない。しかしTigerのサイドバーのアプリケーションアイコンを使うのと比べると、マウスをクリックする回数は多い。

ネットワーキング

 Windows XPもLonghornもネットワーキング機能に関しては、Tigerよりも優れている。両OSがMicrosoftサーバのクライアントとして適しているのが最大の理由だ。これについては、Exchange ServerがMAPI(Messaging API)をサポートしていないなど、Microsoftにも責任の一端がある。しかしAppleにしても、Microsoftの認証プロトコルやActive Directoryのサポートを追加するのに手間取った(これらはPantherおよびTigerでサポートされた)。

 Tigerには、ブログやRSS、Wikiといったソーシャルネットワーキング技術のサポートは組み込まれていない。Longhornにはこれらの技術がOSに組み込まれるため、ユーザーはOS内部からこれらの機能にアクセスすることができる。

 現時点では、Longhornはネットワーキングとセキュリティの分野でTigerよりも優れているように見えるが、データ検索の分野ではTigerがリードしているようだ。しかしLonghornはまだ開発中であり、リリースされるのは1年半以上も先だ。これほど長い時間があれば、多くのものが変化する可能性がある。

 Microsoftでは、Longhornは向こう10年間のWindowsプラットフォームになるとしている。その期間中にAppleは、さらに5つのバージョンのMac OSをリリースするかもしれない。そしてその期間が終わるころには、Longhornは今日のWindows XPのように時代遅れになっている可能性もある。

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