ここ一番の会議は「段取り力」で勝負一歩先を行くSEの頭の使い方(7/8 ページ)

» 2005年06月30日 12時02分 公開
[山崎 将志(知識工房),ITmedia]
  • 交通整理

 ファシリテーターのもうひとつの重要な機能は、交通整理である。会議では、冒頭の例のように演説が始まったり、何かにつけて非難する人が騒ぎ出したり、あるいは、だれも発言せずに沈黙が続くなど、前に進まなくなる状況が発生する。こうした状況を打開し、発言量や内容のバランスをとりつつ、議論を前に進めることが、ファシリテーターに求められる交通整理だ。

 交通整理が必要となる状況はいろいろある。しかし、その原因を一言で言えば「議論のポイントがずれてきている状況」である。交通整理と言っても、「すみません、手短に」と単に発言をさえぎったり、「何かしゃべってください」と指示したりと、形式的な「仕切り」を入れるのではない。問題となる状況に対して、人間関係に配慮して表現に最大限の気を使いつつも、あくまでロジカルに対応することが肝である。


「演説」が始まったら

 たとえば、前置きが長くて、なかなか論点が見えてこないような状況では、次のような発言をする。

「お話の途中すみません。予定では、あと15分で結論を出すことになっていたかと思います。ポイントをおっしゃっていただけますか?」

 中には、しゃべりながら考えて、自分ではポイントをまとめるのが苦手な人もいる。そうした相手には、ファシリテーターがポイントを整理するように、積極的に関与しよう。

 「ちょっとすみません。これまでのお話は、要件に関するプロジェクトチームの誤解と、チームワークについての2点についてのご指摘、という理解でよろしいですか」

 といった具合に、こちらで整理したものを提示する。間違っていれば訂正すればよいし、OKであれば、また戻ってしまうことの内容にホワイトボードに記録する。

 次に、「ほかにポイントはありますか」と聞き、もしあってもファシリテーターが積極的に整理を手伝うことで、言いたいことを早めに全部言わせてしまうことが必要だ。

 あるいは、演説になって話がどんどん議論のポイントとずれていくような場合には、こんな質問をするとよい。

 「先ほどまで、○○について議論していたかと思います。今のお話と、○○との関連性について、ご説明いただけますか」たいていの人は、これで自分が演説モードに入っていることに気づき、発言を止めるものである。しかし、その場で無理な説明を考えながらしゃべり続ける人もいる。

 そうした場合は、タイミングを見計らい、ほかの参加者の助けを得よう。「なるほど。ちょっとほかの方の意見も聞いてみたほうがよさそうですが、今のお話に対して質問のある方はいらっしゃいますか」といった具合だ。

 演説が始まると、ほかの参加者のモチベーションは確実に下がる。ほかの参加者の様子を伺い、タイミングを見計らい、演説者のモチベーションにも配慮しつつ、適切な介入をすることが求められる。

 ほかにも、非難への対応、沈黙の打破など、会議でには目的達成の障害となる、さまざまな問題が起こるが、以上のように、論点の整理と交通整理を行うことが、ファシリテーターの役割である。

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