さて、本稿もそろそろ終盤に差し掛かった。会議終了時におけるファシリテーターの役割について述べたい。各議題が終了したら、まず決定事項、主な論点を確認する。このときにもホワイトボードのログが役に立つ。話し合ったポイントに、ペンで印をつけながら、一つひとつ確認していこう。
次に忘れてはならないのが、決定事項に関する今後の作業確認だ。いわゆる5W1Hが網羅されるように、確認したい。特に重要なのは、「いつまでに」「だれが」行うかは、全員の前で共有しなければならない。次のアクションに繋がらなければ、せっかく時間を使って会議を行った意味がないからだ。作業確認を行ない、質問が出揃ったら会議は解散だ。
会議が解散したら、できるだけその日のうちに議事録を作ろう。記憶が確かなうちに作ったほうが、早く書き終わる。しかしながら、夜の会議ではどうしてもその日のうちに議事録作成時間が取れない場合もある。その際は、無理せず、翌日の朝一番で書きたい。重要な会議が夜開かれる場合には、予め翌朝のスケジュールを1時間ほどとっておくことが、ファシリテーターの基本行動である。
以上、これまで会議のPDSにしたがってファシリテーションについての概要を説明した。本稿では、ファシリテーションの基本として、明日から簡単に実施可能なポイントに絞って説明したつもりであるが、あなたの会社の現状によっては、多少実施が難しいものもあったかもしれない。
重要なので繰り返すが、ファシリテーションは、会議の生産性を上げるための技術である。言い回しや、振る舞いといった枝葉末節にとらわれることなく、あくまで会議の目的を常に自分、そして参加者と継続的に確認し、目的達成に向けたシンプルな行動をとることが肝要だ。4回にわたる「SEの頭の使い方」は、ひとまずこれで終了する。
思考技術の基本要素として、論理思考、発想法、会議術の3点に絞って書いたが、この領域は奥が深く、私としては、もっと広い視点で、詳しく書きたいという想いが残っている。また、このほかにも、プレゼンテーション力、説得力、交渉力、雑談力など、多くのテーマがある。機会を見つけて、書いていきたいと思う。
Webの文章としては、多少長くて読みづらい部分もあったと思うが、最後までおつきあいいただいたことに、心から感謝申し上げたい。感謝の印として、また、より深く学びたい方のために、推奨書籍リストを作成した。ぜひ、ご活用いただきたい。
山崎 将志
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