ここ一番の会議は「段取り力」で勝負一歩先を行くSEの頭の使い方(6/8 ページ)

» 2005年06月30日 12時02分 公開
[山崎 将志(知識工房),ITmedia]

議事の運営

 さて、オープニング終了したら、個別の議論に入っていく。実際の議論において、ファシリテーターに求められる主な機能は、論点整理と交通整理の2つである。

  • 論点整理

 ファシリテーターは、各議題における目的を達成するために、論点、つまり今何が議論のポイントになっているかを丁寧に確認することで、参加者を集中させなければならない。

 往々にして、議論をしている過程で話が脱線していくのは、よくあることである。

たとえば、プロジェクトを予算内に納めるために残業を減らす策を議論せねばならないのに、会社の人事制度や上層部の批判に論点が移ってしまう、ということがある。このようなプロジェクト終了までに解決が困難で、しかも当事者不在で文句の言いやすい議論に発展してしまうと、いつまで経っても改善案は出てこない。

 このような状況では、たとえ話の内容が興味深かろうと、ファシリテーターは冷静になって「今議論になっているポイントは、プロジェクトを予算内に収める、という目的に照らして、妥当でしょうか?」という質問を発しなければならない。

  • ホワイトボードによる可視化

 このように、目的から外れた議論を、元に戻すハウツーとして、是非取り入れていただきたいのが、ホワイトボードの活用である。たとえば、上記のケースにおいても、議題をホワイトボードに大きな字で書いておくことで、ポイントがずれていくのを防止する一定の効果は期待できる。

 また、途中の議論の中で出てきたポイントも書き出しておけば、話を戻しやすい。「先ほど、議論になっていたチーム内のレビュープロセスに戻りませんか」などと、具体的に議論のポイントを示せば、参加者も脱線前のことを思い出しやすい。

 また、口頭だけの議論だと、用いる言葉に対する誤解によって、フォーカスがぶれやすくなる。たとえば、スケジュールの作成においては、「いつ」「だれが」「どういう順番で」などと、複雑な会話がなされる。一つ一つ可視化していかないと、非常に時間がかかる。

 特に指示代名詞が飛び交うと、誤解の温床だ。「あれ」「これ」などを、具体的にどこをさしているのか、明示しなければならない。こうした無駄を避けるためにも、ホワイトボードの活用は有効だ。議論を「可視化」しながら、会議を進めていくことは、ファシリテーターの重要なスキルのひとつである。

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