製造業としてのHPはITをどう活用? 社内IT担当者に聞くInterview(2/2 ページ)

» 2005年07月15日 22時47分 公開
[鈴木崇,@IT]
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 BIアーキテクチャフレームワークは、HPのエンタープライズ・アーキテキチャ(EA)である「ダーウィン参照アーキテクチャ」の1レイヤに位置付けられるものです。6つのレイヤからなっており、基本的には社内外のさまざまなデータソースから情報統合のレイヤを通って、データウェアハウスに統合します。これによって全社レベルのきちんと整合性のとれた情報が用意されます。ここからビジネスユニットごとに使いやすいビジネス・データウェアハウス(データマート)を生成し、全従業員共通のポータルからアクセスをするという形です。

 全体最適を実現するうえで重要なのは、正確性の確保です。いかに整合性を保って正しい情報を1つ作るか、このアーキテクチャによって担保しているのです。

―― そのように生み出される情報が、真にビジネスの現場が必要とする情報であることを担保する仕組みはどのようなものですか?

スパランザニ氏 米国HP ビジネスインテリジェンス&情報インフラ ディレクター フレデリック・スパランザニ氏。情報活用・情報整備の責任者。HPとコンパック合併時のデータ統合についての総責任者だという

スパランザニ氏 製造業のビジネスオペレーションでは基本的に事業部が強くなる傾向があるため、どうしても分散した組織になり、全体最適をやりにくいという面があります。そういった中で、GO+ITに各事業部や地域の責任者がコアチームを作り、いかにBIの領域で全体最適を達成するのかを利害調整する仕組みを持っています。

 フレームワークとは抽象的なリファレンスモデルなので、基本的にはそれに従わなければならないものですが、それに従って対応が遅れるということがないようにしています。フレームワークがあることによって、全体最適とスピードが要求される場合の両立を図っています。

 これらの活動は最初にお話ししたとおり、アダプティブ・エンタープライズを目指すものであって、アダプティブ・エンタープライズの4つの指針、「シンプル化」「標準化」「モジュール化」「統合」に基づいて行っています。

―― ビジネスプロセスとしては今後、どのような方向を目指すのですか?

スパランザニ氏 現在のBIモデルは、フェデレーテッドモデルで分散型と集中型の均衡点を見いだす形ですが、これは技術的な障壁があってのことではなく、マネジメントスタイルに合わせたアーキテクチャになっているものです。マネジメントスタイルを集中型に移行していく予定になっており、システムのアーキテクチャも集中型にしてより効果が出るような形にしていくことを考えています。

 また提供する情報も、従来はセールスやマーケティングなどの役割ごとにその場その場で作っていたようなところがありましたが、役割ベースで必要なKPIなどをきちんと定義して、標準化して用意するといったことも考えています。


 なお、日本HPでは「こうしたHP自身の取り組みと経験をベストプラクティスとして、お客さまに提供するサービスとして生かしていく」方針で、実際に米国HPのIT部門のメンバーがカスタマビジットを行い、SI部門とのコンビネーションでソリューション提供を行っているという。日本においてもM&Aの活発化、部門を超えた情報共有の必要性などが叫ばれる中、タフな情報統合を経験したHPの知見は大いに役立つに違いない。

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