まず、Calcでは、次のようなグラフを作成した(サンプルファイル:C_graph_ms2OOo.pdf)。データは、A、B、C、3店の売り上げからC店の売上率を求めている。また、グラフには、このC店の売り上げと売上率を表示する(下画面)。
Calcでグラフを作成するには、標準ツールバーの「グラフの挿入」ボタンを使い、グラフウィザード(オートフォーマット グラフ)を呼び出す。この辺りはExcelとほぼ同じになっている。
またグラフの種類としては、「折れ線」や「棒グラフ」など8種類が用意されており、それぞれ2Dと3D表示が可能だ。Excelと比較すると、若干オプションが少なく、たとえばY軸のメモリで表示単位を「百万」というように設定はできない。また、Y軸に「\」マークを表示させるためには、書式で日本語フォントを設定する必要がある。
以上のドキュメントを「Microsoft Excel97/2000/XP(.xls)」形式で保存し、Excel 2003に読み込んでみた(下画面)。データや書式には欠落がないが、複合グラフの折れ線グラフが棒グラフに変わってしまった。ただし、Excel側で再度設定すれば複合グラフに戻る。
今度は、Excel 2003で同様のグラフを作成した(下画面)。Excelのグラフは、Calcと比べると「ドーナツ」や「バブル」など種類が多い。今回は、棒と折れ線の複合グラフを作り、Y軸の表示を「百万」単位に設定している。
このグラフをCalcに読み込んだところ、すべてのグラフが棒グラフになった。また、Y軸の表示単位は再現されなかった。さらに、X軸の表示も変わってしまった。これは、X軸の表示データが隣接したセルになっていないためだと思われる。
それでは、これまでに紹介したCalcとExcelを比較した結果から、ExcelからCalcに移行したり総合運用できるかを考察してみよう。
まず、一部の関数やグラフの互換性が不完全なことから、数値を扱うという性質も相まってExcelとCalcを混在運用するのは容易ではないといえるだろう。互換性が不完全な機能を使わないようにするといった制限が必要になるはずだ。そのための洗い出しも必要となる。
一方、完全にCalcに移行してしまい、Excelは従来のファイルのビューアにしたり、Excel形式ファイルを受け渡しする際の確認用とすれば、十分に実用となる。受け渡しするファイルがExcel形式ではなく、PDFファイルであれば、Calcを利用する価値は高い。
結局のところ、ポイントは表計算ソフトをどの程度高度に利用しているか、その高度な機能がどの程度Excelに依存しているかによって、移行できるか? 相互運用可能か? が決まる要となる。
今回は、VBAの検証は行わなかった。現在のバージョンではBasicに互換性はない。どのようにしたら移行できるかは、別の機会に検証する。
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