オープンソースライセンスの種類過剰について語るIBMのミルズ氏(1/4 ページ)

IBMソフト部門幹部のスティーブ・ミルズ氏が、Linuxや仮想化のトレンド、Red HatとNovellの2頭レースになっている現状、そしてAIXの今後について語った。(IDG)

» 2005年08月12日 14時56分 公開
[IDG Japan]
IDG

 IBMのソフト部門上級副社長兼グループエグゼクティブ、スティーブ・ミルズ氏は8月10日、LinuxWorld Conference & ExpoでComputerworldのインタビューに応え、Linuxの利用トレンド、Linux・オープンソース仮想化ソフトの開発計画への関与、AIXの計画について語った。

―― 単にUNIXからLinuxに乗り換える顧客ではなく、Linuxの新規導入はどのくらい見え始めていますか?

ミルズ 彼らはこれまでやっていたことをまだ続けていますが、今は新しい実装もかなり増やしています。ここ数年、市場で(Linuxの)勢いが高まっている要因は、実際はLinuxで動くアプリケーションの登場です。多くのISV(独立系ソフトベンダー)が何をやっているかを追跡するのは容易ではありませんが、今は非常に多くのアプリケーションが出回っています。これらアプリケーションの提供企業は、新たな売上を求めて自社のコードをLinuxに移植しています。

 これについては、UNIXの進化が起きた過程のように考えるべきです。それは非常に長い過程でした。UNIXの初期段階は、とてもシンプルなアプリケーション、人々が急いで作ったちょっとしたプログラムがたくさんありました。UNIXの初期のアプリケーション活動の一部に関わっている人には、ある程度の表現の自由がありました。それから、企業が必要とする古典的なアプリケーション機能の方へと進み始めたのです。今日、ウォール街でさまざまな企業に行くと、UNIXシステムで実行されているあらゆる種類の分析・取引システムの活動が見られます。通信分野に行けば、フロントオペレーションや顧客対応や請求、生産管理や工場システムなど、UNIXを基盤にしたあらゆる種類の主流のコンピューティング用途に関連したシステムが見られます。

 Linuxのムーブメントはこれに似ています。1990年代初めの初期段階を振り返ると、ちょっとしたプログラムがたくさんありました。一番簡単なのは、Linuxにあまり負荷をかけない既存の軽量のプログラムを移行させることでした。Linuxは比較的安価です。安めのマシンで動かせます。お金を幾らか節約できます。そこで、シンプルなアプリケーションによる費用削減を狙ったのです。

 それからわたしたちは、顧客がLinuxでSAP ERP環境を動かすような、もっと高度な環境に移行しました。彼らはLinuxでコールセンターを動かし、小売店の業務をLinuxで運営しています。アーリーアドプターの段階から、今はもっとメインストリームに移ったのです。

―― Linuxが成熟しつつある今、自社環境を仮想化しようとする企業は増えていますか?

ミルズ 所有コストをもっと効率化しようとするトレンドは明らかにあります。VMwareやXenが使われており、このようなソフトが市場においてLinuxの勢いを高めています。顧客が所有コストに目を向け始めているからです。各サーバで負荷の軽い作業を行って、「何かわたしにできることはあるか、このサーバをもっと活用する役に立つコードを追加できるか?」と言っている顧客は割と多いのです。

 この分野には多くの製品があります。われわれはこうした要求に向けて「BladeCenter」を販売しています。AIX搭載のpSeriesをこの要求に合わせてパーティショニングして販売しています。もちろん、自社ハードでもVMwareをサポートしています。サーバへの支出をより活用する方法として、それを選択する顧客もいます。これはLinuxに特有の現象ではありません。Linux以外でもそうした考えは劣らず人気があります。

―― IBMはどの程度Xenに取り組んでいますか?

ミルズ 社内ではXenに関連した活動が行われています。われわれはXenのコミュニティーに関与しています。Xenがもっと成熟することを望んでいるのです。市場はハイパーバイザー仮想マシン機能の選択肢を必要としていると思います。オープンなスーパーバイザーには確かにかなりの魅力があります。

―― Xenが完全にできあがったら、IBMとしては顧客に推薦しますか?

ミルズ いずれXenを大きく支持しようという気持ちがなければ、関与などしませんよ。ある意味では、われわれは今、関与を通じてXenを支持しています。人々にXenに関わるプロジェクトを始めないように、とか試さないようにとは言っていません。ですが、あなたの言うとおりです。Xenはまだ成熟に向かう初めの段階にあります。ですが、もっと成熟した高度なXenのコードベースに向かう道を描くことはできるでしょう。

―― IBMはLinuxカーネルの開発にどの程度関わっているのですか?

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