ミルズ 当社には1998年か1999年からLinux Technology Centerがあり、Linux開発に関してコミュニティーと交流しているチームがあります。文字通りコアチームの一部となっている人は当社にはいません。われわれは、取り組みの内容という点では、提案やコードサンプルの提供という、インフルエンサーの役割を果たしています。Linuxの特定の改善点に向けて働きかけようとしています。明らかに、われわれの関心は、大企業顧客が最も関心を持っているものに関連する傾向があります。彼らは堅牢さ、スケーラビリティ、フェイルオーバーを心配しています。それがわれわれが興味を持つ方向なのです。さまざまなグループが、自分たちがより関心を持っている分野の縄張りを主張しています。われわれが取り組んできたアイデアをコミュニティーに受け入れてもらい、カーネルに盛り込んでもらうことにはかなり成功してきました。
―― LinuxがRed HatとNovellの2頭レースになっていることについてはどう思いますか?
ミルズ もっと小規模なディストリビューターは常に存在していましたが、われわれにとっては、この2頭レースはかねてからあったものです。われわれとしてはそれでまったく構いません。これは配布に関することであり、購入者がフルパッケージのOSにアクセスしやすいかどうかに関係しています。このエコシステム(生態系)は機能しています。われわれ大いに心配しているのは、このエコシステムを台無しにするようなことはしたくないということです。この市場にはかなりの勢いがあります。IBMが自社技術をLinuxに対応させ、顧客を支援しLinux採用を促進する上で果たしている役割は、われわれのニーズと要件に非常によく合っています。ディストリビューターにこれを達成してもらう必要がないのです。Linux市場はLinuxそのものよりも何倍も巨大です。Linux周辺には、Linuxディストリビューターにあるよりも多くのお金があります。
―― Linux人気の拡大を考えると、AIXの計画は今後どうなるのでしょうか?
ミルズ AIXへの投資は、顧客がAIXを使っている限り続けます。当社にはまだOS/2チームもあるんです。
―― 昔ほど大きなチームではないのでしょう。
ミルズ 以前よりもずっと小規模なチームです。確かに憶測で「LinuxがAIXの機能を全部こなせるようになり、皆がLinuxを好めば、いずれはAIXへの関心は消え、その関心をLinuxが手に入れるかもしれない」と言うことはできます。これはすべて憶測です。実際そうなるのかどうかは分かりません。もしそうなったら、そのときにわれわれがやるであろうことは、理にかなったものになります。われわれはpSeriesのハード事業を推進するためにAIXを開発しています。だからAIXが重要なのです。AIXはこのハードプラットフォームに価値を付加します。このプラットフォームを前進させます。ほかの何かがそうするのなら、それに乗り換えることができます。
―― ですが、あなたはLinuxディストリビューションを喜んで外部の手に委ねるのでしょう?
ミルズ そうです。
―― もっと支配権を持つ必要があるとは思いませんか?
ミルズ 思いませんね。
―― LinuxWorld Conferenceでは、オープンソースライセンスの増殖を防ぐ必要性に触れたキーノートスピーチもありました(関連記事参照)。ステュアート・コーエン氏(Open Source Development LabsのCEO)によると、Open Source Initiativeでは57種類のオープンソースライセンスを確認しているといいます。この状況をどう思いますか?
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