「日本市場を足がかりにアジアへ」とSalesforce幹部Dreamforce'05 Report(2/2 ページ)

» 2005年09月14日 17時41分 公開
[谷川耕一 ,ITmedia]
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ITmedia 前回の「multiforce」も大きなブランディングキーワードの発表でした。今回発表された「Winter'06」では、さらに新しいブランディングキーワードが幾つか発表されています。半年という短期間に、新しいブランディングキーワードを登場させた背景と狙いについて教えてください。

フィル 今回のブランディングの変更は、顧客の声を反映したものです。年に3回のバージョンアップを続けてきて、そのたびに新たなキーワードが登場し、結局20ものブランディングネームがありました。顧客からは、混乱を指摘されていたのです。

 今回はこれらを4つのブランドに集約しました。Salesforceは提供するアプリケーションそのものを表し、Appforceはプラットホームやサービスを構成するファミリーネームで、OS、DB、Builder、Integration、APIの5つが含まれます。そして、世界で初となるオンデマンドアプリケーションのシェアリングマーケットであるAppexchange、顧客やパートナーを成功に導くための教育やサポート、コミュニケーションを表すSuccessforceです。これにより、顧客の大きな混乱はなくなると思います。

ITmedia ここ最近のSalesforceのビジネスの成長は、素晴らしいものがあります。これまでは、オンデマンドCRMに注力してきたことで成功を成し遂げてきたと思います。ところで、今回発表したAppexchangeは、CRMの領域を超えてオンデマンドアプリケーションの「プラットホーム」を提供しています。今後は、企業メッセージを「オンデマンドCRMのSalesforce.com」から、さらに拡大していくのですか。

フィル Appexchangeは、プラットホームを提供するということもありますが、CRMのビジネスを拡大するものなのです。というのも、Appexchangeで提供するアプリケーションには、ERPや会計、人事など多様なものがありますが、CRMに関連するものが既にたくさんそろっています。AppexchangeによってこれまでのCRMの範囲が広がってはいきますが、路線の変更というものではなくこれまでの延長線上にあるものだと考えています。

社名を変えるつもりはない

ITmedia 対象領域の拡大により、CRMやSFAをイメージするSalesforceという社名を変えるつもりはありますか?

フィル 名前を変えるつもりはありません。Salesforceは、既にポジティブなブランディングキーワードとして定着しています。SiebelやSAPのように企業の名前は必ずしもやっている業務を直接的に示すものとはなっていません。英国にRadio Rentalという1970年代にラジオのレンタル事業を開始した企業があります。今では、TVやDVD、ビデオなどを販売していますが、依然として社名はRadio Rentalです。こういう例にもあるように、定着したブランディングは重要です。

ITmedia 中国を筆頭にアジアパシフィック地域の市場が注目されています。しかしながら、欧米に比べアジアパシフィック地域において、Salesforceの認知度はSAPやOracleなどの競合よりも高いとは言えません。アジアパシフィック地域に対する、今後のマーケティング戦略について教えてください。

フィル アジアの中でも日本に特に注目し、フォーカスしています。というのも、日本がアジア地域において最もIT化が進んでいるからです。日本では、メインフレームの導入やクライアント/サーバの普及が急速に進んだという歴史があります。日本は、オンデマンド市場についても、既に下地は整ってきていると思います。そのため、オンデマンドの普及が今後は急速に進むと考えています。そのタイミングを逃さずに日本で実績を築き、アジア全体への足がかりにしていきます。

ITmedia 日本マーケットにおいて、言語や商習慣の違いからくる障壁の存在は感じませんか?

フィル Salesforceには、ランゲージバリアは存在しないと考えています。既に12カ国語に対応したサービスを提供していますし、今回発表したAppexchangeによって、日本のネイティブなパートナーや顧客から、日本の商習慣にあったアプリケーションがもちろん日本語で、すぐに提供できるようになると思います。



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