Sun、ハイエンドサーバにもUltraSPARC IV+を採用

Sun Microsystemsは「Sun Fire」サーバのハイエンドモデルにもUltraSPARC IV+プロセッサを搭載する。その先には「Niagara」プロセッサが控えている。

» 2005年10月18日 19時25分 公開
[Jeffrey Burt,eWEEK]
eWEEK

 1カ月前に新プロセッサ「UltraSPARC IV+」をローエンドおよびミッドレンジの「Sun Fire」サーバ向けに投入したSun Microsystemsは、ハイエンドモデルも同プロセッサでアップグレードしたことを10月24日に発表する。

 カリフォルニア州パロアルトに本社を置くSunは、1.5GHz版のUltraSPARC IV+プロセッサを搭載した36ウェイの「Sun Fire E20K」および72ウェイの「同E25K」サーバを出荷する予定だ。同社によると、従来モデルと同じ価格と消費電力でありながら、20%の速度アップおよび最大5倍のパフォーマンスを実現するという。

 Sunのスケーラブルシステムグループのデビッド・イェン執行副社長によると、先に新プロセッサでアップグレードしたシステムの場合と同様、Sunの「CPU/Memory Uniboard」の採用および同社のUNIX OSであるSolaris 10とのバイナリ互換性により、UltraSPARC IIIまたは同IVプロセッサを搭載したサーバをすでに運用しているユーザーは、従来とほぼ同じUniboardに交換するだけでハイエンドのサーバにアップグレードすることができるという。

 UltraSPARC III、IVおよびIV+で動作する各システムを同一のラック内で運用することも可能だという。

 「われわれの目標は、アップグレードに伴う業務の中断を最小限にすることだった。ホットプラグ可能な互換機能を利用することにより、顧客は即座にアップグレードすることができる」とイェン氏は話す。

激化するUNIX市場の競争

 競争の激しいUNIX分野では、Sunとライバル各社がさまざまな動きを見せており、今回のSunのハイエンドサーバ製品シリーズのアップグレードも、そういった動きの1つだと言える。Sunは9月20日、「Sun Fire V490」「V890」「E2900」「E4900」「E6900」サーバでUltraSPARC IV+を初めて採用した。

 ニューヨーク州アーモンクを本拠とするIBMは10月、ローエンドの「p5」システムで同社のRISCプロセッサ「Power5+」を投入しており、来年には、ミッドレンジとハイエンドのシステムにも同チップを採用する計画だ。また、カリフォルニア州サニーベールにあるFujitsu Computer Systemsは来年、自社の「SPARC64」プロセッサにデュアルコア技術を導入する予定だ。

 一方、カリフォルニア州サンタクララに本社を置くIntelは、デュアルコアItaniumプロセッサの最初の製品を年内に発表する予定だ。同社では、この64ビットプロセッサのターゲットとしてRISC市場に狙いを定めている。

 イェン氏によると、企業ユーザーは過去の投資を生かしたいと考えており、技術の下位互換性がSunの最大のアドバンテージだという。

 「われわれは2〜3年前よりもずっと競争力が高くなっている。顧客に対する長期的なコミットメントと顧客重視の姿勢が、当社の競争力を高めている」と同氏は話す。

 UltraSPARC IV+では、3次キャッシュおよびオンチップの2次キャッシュの容量が増やされた。これは、メモリ上のデータにアクセスする際の遅延短縮を狙ったもの。また、プロセッサのパイプラインの改善によってパフォーマンスが向上したのに加え、90ナノメートルの製造プロセスへの移行によって、消費電力を従来と同じレベルに抑えることに成功した。

 Sunによると、72個のUltraSPARC IV+プロセッサを搭載するE25Kは、最大114の命令スレッドを同時に実行することができるという。このシステムは、大規模データベース、意思決定支援、顧客管理などの分野をターゲットとする。

 UltraSPARC IV+は、自社のサーバ製品全体の市場拡大を目指すSunの意欲的な計画の一環となる製品でもある。同社では、Advanced Micro Devices(AMD)のOpteronプロセッサで動作する「Sun Fire」システムでx86市場に進出しようとしており、同プロセッサをベースとする「Galaxy」システムを9月に発表した

 さらにSunは、「Advanced Product Line」と呼ばれる新シリーズのRISCベースシステムの開発で富士通と提携している。このシステムは、「Olympus」のコードネームで呼ばれる次世代のSPARC64チップを搭載し、2006年半ばに登場する予定。

 Sunは来年初頭に、「Niagara」プロセッサをベースとするシステムの出荷を開始する。同プロセッサは1個のチップ上に8個のコアを搭載し、それぞれのコアが最大4つの命令スレッドを同時に実行することができる。「Niagara II」および「Rock」プロセッサの開発も進めており、それぞれ2007年と2008年に投入する予定だ。

 同社では、UltraSPARC IV+の高速化も予定しているほか、UltraSPARC IIIiのアップグレードとなる「UltraSPARC IIIi+」の開発も進めている。

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