データ統合でSOAをリードするオラクルのミドルウェア戦略Oracle Fusion Middleware Day Report(3/3 ページ)

» 2005年10月26日 18時33分 公開
[谷川耕一,ITmedia]
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事例で実績をアピール

 PIM Data Hubの販売開始のアナウンスと同時に、日本オラクルは、カシオ計算機がこの製品を採用したことを明らかにしている。さらに、SAPが強いセクターと言われる化学業界におけるマスター統合を、PIM Data Hubで実現した事例についてもセッションで紹介された。この化学業界の事例では、OracleとSAPのアプリケーションの統合が実現していることが紹介されており、まさに、オープンプラットフォーム上で既存資産を再利用しながら新たな情報システムを構築するSOAの特徴が表現された事例となっている。

 また、CSKによる国内初となるCustomer Data Hubの事例も紹介された。CSKは10月、ホールディング制への移行と、それに伴う営業体制の変革を行った。さらに、2005年春に施工された個人情報保護法に対応するために、Customer Data Hubの採用を決めたという。

 CSKの産業システム事業部、ERP事業部課長を務める蔦谷洋輔氏によると、新しいソフトウェアの最初のユーザーになったことについて、周囲からは、「勇気あることをしましたね」といわれるとのこと。

 しかしながら、CSK内で稼動していた4つの顧客データシステムをゼロから作り直していたのでは、到底間に合わないという現実があった。

 結果的には、2005年2月から本格的な検討を行い、開発からカットオーバーまで実質6カ月という短期間での導入が実現した。成功のポイントは、システム化の範囲を早い段階で確定したこと。また、実績のあるEBS導入方法論AIMを採用したことやBPELプロセスマネジャーの利用などで独自の作り込みを最小限におさえたことなども挙げられる。効果としては、個人情報の適切な取り扱いはもちろん、人員の削減なども期待されている。

 オラクルは、データベースでは絶対的な実績を誇っている。当然、データモデルなどについてもたくさんの経験があるはずだ。データベースでの経験とオープンで標準的なミドルウェアの機能が十分に融合できれば、データ統合の分野では先頭を走り続けることが可能であろう。確固たるデータ統合での実績を築けば、プロセス統合と合わせてSOAでの成功事例を産み出し、現在よりもさらに確固とした地位を市場で築くことができるかもしれない。

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