Linux Standard Baseが国際標準規格として承認へ(2/2 ページ)

» 2005年11月11日 00時00分 公開
[Stephen-Feller,japan.linux.com]
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一部には批判の声も

 GNU C標準 ライブラリ・プロジェクトGlibcの開発とメンテナンスで中心的な役割を担っているUlrich Drepper氏は、9月17日の自身のブログで、LSBを痛烈に非難した。その非難の範囲は、LSBのコードのテストの問題から、標準規格を扱っているプロたちの技能が欠けていると同氏が認識している部分にまで及ぶ。同氏は、LSBの「金銭的な後ろ盾がなくなり」、このプロジェクトの成功に生計がかかっている「失うものばかり」の人たちではなく、ボランティア開発者によって維持されるようにならない限り、このプロジェクトはうまくいかないと語っている。

 Drepper氏は、「これはまったくの無駄骨だと思う」として、LSBはいずれにせよ成功しないであろうと述べている。「どれだけの時間を投じても、トラックが通れるくらいの穴が残っているはずだ」。

 Drepper氏には、本記事のためにインタビューを申し入れたものの、反応をいただけなかった。Drepper氏はFSGに対し、「今のうちに手を引く」ことと、すべてのバグを解消するまで、LSBでソフトウェアがきちんと動くと開発者に対し約束しないよう勧めている。Drepper氏自身、多数のバグを発見し、報告したとのことだ。

 一方、Debianの主要開発者の1人であるJeff Licquia氏は、自身のブログにおいて、Drepper氏の関心は自己保身にあるか、あるいは少なくとも、Drepper氏の雇用主であるRed Hatの保身にあるとの反応を示している。Drepper氏は、互換性の問題を解決するために、LSBの代わりとして、ソース仕様と、同一のバイナリを使用することを提案している。

 Licquia氏は、Drepper氏の動機に疑問を投げかけている。Licquia氏はこう書いている。「彼は、どのバイナリを使用するのかとの疑問に答えていない。おそらくは、現在のデファクトであるRed Hatで満足だからなのだろう。競争のない世の中のほうが、彼にとって好ましいのは確かだろうが、残りの私たちにとってはどうだろうか」。

 開発者向けの基準を提供し、さまざまなディストリビューションを前進させることを目指しているFSGは、LSBの承認をLinuxにとって非常に大きな1歩ととらえている。また、それらディストリビューションにとっての標準の基盤を明確にすることは、開発者間の競争の維持とLinuxコミュニティー全体の保護を実現する方法の1つだととらえている。

 「この承認はまさに、Linuxが成熟し、あらゆる場所のユーザーにとって本物の選択肢の1つになったという知らせになります」とゼムリン氏は語り、さらにこう付け加えた。「グローバルな標準化コミュニティーが、LinuxとLSBの両方の重要性に目を向けていることを、この承認は示しています。Linuxの標準は1つだけです。この統一によって、Linuxはきわめて優れた選択肢になります」

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