研究開発部門を設立したCA、狙いは「ワイヤレス」「RFID」「SOA」CA WORLD

CAは、自社独自の研究開発グループ「CA Labs」を設立した。ここでの研究を通じて、統合ネットワークやモバイル/ワイヤレス、SOAといった分野での取り組みを強化していくという。

» 2005年11月15日 23時20分 公開
[IDG Japan]
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 Computer Associates(CA)は、将来に備えているようだ。

 ラスベガスで開催中の年次ユーザーカンファレンス「CA World」において、CAは自社の研究開発グループとなるCA Labsを設立したと発表した。3〜5年後にCAの顧客にとって重要になる次世代技術の開発に取り組むのが狙いだ。11月13日に開幕した今回のCA Worldでは、約5000人の来場者を見込んでいる。

 CAのヨゲシ・グプタCTO(最高技術責任者)はカンファレンスで、CAが今後の開発の取り組みでフォーカスする分野について報道陣に説明を行った。同氏は最も重要な分野として、(1)統合ネットワーク上で動作する高度なアプリケーション、(2)モバイルアプリケーション/デバイスとワイヤレスネットワーク、(3)サービス指向アーキテクチャ(SOA)環境/アプリケーションを挙げ、CAはこれらの分野を通じて管理とセキュリティの問題に取り組むという。

 CAの研究開発グループの責任者に就任するのは、13カ所のIBMワールドワイドセンター・フォー・エクセレンスを統括したIBMの元ベテラン幹部、ギャビー・シルバーマン氏である。同氏によると、社内で研究開発を行う一方で、オープンソースコミュニティーと連携し、全世界の主要大学の研究者・学生の協力も仰ぐ予定だという。

 「さまざまな分野のCAの製品開発で技術を活用することができる研究組織を構築するというのは、わくわくするような機会だ」とシルバーマン氏は語った。同氏によると、研究グループでは、CAが今年、目標として設定したシステム開発、企業のセキュリティ、そしてストレージシステム管理とビジネスサービス最適化の分野にフォーカスする方針だという。

 グプタ氏によると、IBMやHPといった最有力ライバルと並んで、CAもついに、製品の開発/リリースに携わる自社の技術者に加えて、将来に必要な技術を研究するチームを保有することになったという。

 「IPネットワークには難問が山積しているため、われわれは新技術に対する取り組みを強化するつもりだ。CAでは、これらの課題をビジネスチャンスだと見ている」とグプタ氏は語る。

 「コネクティビティ、モビリティ、連携のすべて分野にわたって環境が改善されたことで、今ではあらゆるものがIPネットワーク上で動作するようになった」(同氏)

 CAによると、研究グループの設立を通じてテコ入れを図る分野では、同社はすでに製品を提供しており、標準の開発にも取り組んでいるという。

 グプタ氏によると、今年、Concord Communicationsと同社の「eHealth」ネットワークパフォーマンス管理ソフトウェアを買収したことで、CAは以前ほどネットワーク分野で苦労することがなくなるという。CAはこの買収に伴い、ネットワーク障害管理ソフトウェア「Aprisma Management Technologies Spectrum」も自社のソフトウェアポートフォリオに加えた。

 「eHealthおよびSpectrumにUnicenterを組み合わせることにより、データ/音声/ビデオアプリケーションを提供する統合ネットワークに取り組むITマネジャーを支援することができる」と同社は説明した。

 ワイヤレス分野に関しては、CAは昨年、「Unicenter Wireless Site Management」を投入しており、同社によると、このソフトウェアのメジャーアップグレード版を現在開発中だという。

 CAの開発担当上級副社長、ドン・ルクレアー氏によると、同ソフトウェアの新バージョンでは、ネットワーク管理者がエンタープライズ規模のワイヤレスネットワークの検出、構成、セキュア化、最適化、監視を容易に行えるようになる。例えば、複数のアクセスポイント間でワイヤレストラフィックの負荷分散も行える可能性があるという。なおCAは、Unicenter Wireless Site Managementのアップグレード版のリリース時期を明らかにしていない。

 ルクレアー氏は、ワイヤレスネットワークおよびパーベイシブコンピューティングの分野で、CAが取り組みをさらに強化することについても説明した。スマートフォンや「BlackBerry」携帯デバイスなどのインテリジェント型PDAに組み込まれたワイヤレス技術は、デバイスの管理とセキュア化のための機能を提供する必要があるという。こういったデバイスは、企業のネットワークを危険にさらす恐れがあるからだ。

 ルクレアー氏によると、CAが今後取り組もうとしているもう1つの分野が、RFIDタグ(無線ICタグ)で収集したデータの管理とセキュリティだという。さまざまなフォームファクタやインタフェース、OSに対応するため、こういった技術が、標準化などの取り組みを通じてデバイスに組み込まれる可能性があることを同氏は示唆した。

 「デバイスの管理とセキュア化を可能にするエージェントあるいはインタフェースが、デバイスのOSの一部となる必要がある。これは、標準の開発を通じて実現することができる」(ルクレアー氏)

 さらにCAでは、SOA環境とWebサービスを管理できるよう自社の現行製品を拡張する技術にも目を向けている。現在、同社の「Unicenter Web Services Distributed Management」(WSDM)、ならびに昨年のNetegrityの買収に伴って取得した「eTrust TransactionMinder」は、Webサービスを管理するツールを備えている。

 IDCによると、現在のSOA市場全体の規模は41億ドルで、2009年までに149億ドルに拡大する見込みだ。また、SOA管理/セキュリティ製品だけに限れば、現在の市場規模は3億ドルで、2009年にはこれが12億ドルに達するとみられている。

 こういった数字を見れば、CAが技術の自社開発を強化し、OASISをはじめとする業界団体を通じて標準化の取り組みを続ける計画だというのも、当然だと言えそうだ。

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