RDBMSの父が語る“地図サービス”人気にMSの王手the Microsoft Conference 2005 Report

ネット上の位置情報サービスが人気だ。いわゆる地図サービスのこの根底には、データベース利用が欠かせない。ほかでもなくMSであればVirtual Earthであり、SQL Serverが支えている。

» 2005年11月18日 05時47分 公開
[木田佳克,ITmedia]

 11月17日、東京プリンスホテル・パークタワーで「the Microsoft Conference 2005」(MSC 2005)が開催された。今回のカンファレンスは、既報のSQL Server 2005、およびVisual Studio 2005を広く発表する場として位置付けられたが(関連記事)、今回で10回目となるMSCとしては、ディシジョンメーカー、ITプロフェッショナル、デベロッパーに向けた新たな情報提供の場として通年開催のものだ。

データベースに関しSQL Server 2005から全般的な歴史、天文学コミュニティーへの適用まで幅広く語る米Microsoft、リサーチグループのジム・グレイ氏

 カンファレンスの基調講演を始め、コミュニティーや大学講演などのために来日した米Microsoftでリサーチグループのジム・グレイ氏。同氏は、業界から“データベースの父”と呼ばれており、今回のカンファレンスではSQL Server 2005(コードネーム「Yukon」として呼ばれていたもの)について発表するキーパーソンとして招かれた。MSC 2005の会期中に同氏へインタビューする機会を得たため、現在の取り組みやインターネットとデータベースの関わり、天文とデータベースの親和性などについて聞いた。

 SQL関連の著書を始め、World Wide TelescopeTerra Server、Virtual Earthなどに関わるグレイ氏。天文学者のコミュニティーにも参加し、情報整理のための観点からSQLの実装、そしてその効果を見据えた研究も行っている。

 なぜ、グレイ氏は天文学に興味を持ったのか? 同氏は、天文学者になりたかったのではなく、ITによる貢献に喜びを感じていることを強調した。また、「天文学者とのやり取りで分かったのは、データ共有を切に願っていたことだ」という。比較的、天文学者といえば世界的にも少数派であり、その情報もインターネット上では埋もれてしまいがちなもの。しかし、情報を効果的につなぎ合わせることで情報価値は高まり、天文学者たちもそう望んでいたのだという。

 その協調取り組みの一つ、前述のWorld Wide Telescopeはいわゆる光学機器そのものを世界的に構築という意味ではなく、天文学情報のネットワーク間結合を目的としたもの。このような取り組みに注目した理由についてグレイ氏は、「天文学情報が商業的には無価値であること」だと語った。確かに宇宙旅行がビジネスになる昨今だが、学問としての天文は、多くの商用ラインに当てはまらないだろう。SQLの採用プラットフォームとして真意を語った。

 また、グレイ氏は最近の流行として位置情報サービスの活発さについて触れ、インターネットとデータベースの関係で事例として挙げた。SQL Server 2005で実現した.NET Frameworkの共通言語ランタイム(CLR)対応によるWebサービスとXMLの親和性は、このような形態でいっそう付加サービスへと貢献していくだろうと自信を見せる。インタビューの最後に聞いたGoogleについてコメントでは、「競合によってMicrosoftは目覚めることができた。Googleによって気づくことが多かった」と語りながらも、「Googleのカタチが必ずしも良いとは考えていない」と強調する。WebサービスとXML統合を実現したSQL Server 2005が、多くの派生サービスへとつながる原動力になれることに自信を見せている。

 従来までのSQL Serverでは、比較的サーバサイドでのプログラミングに柔軟性がなかったため、CLR対応は待ち望まれていたものだ。グレイ氏はインタビュー中に何度もXMLについて言及し、同社がOffice 12でも進めているようにXMLの親和性が.NET Framwwork 2.0との統合でSQL Serverの真価になることを示した。

 MSC 2005は今回の東京開催を皮切りに、今後は大阪(11月24日)、名古屋(11月29日)、広島(12月1日)、札幌(12月6日)、福岡(12月9日)、仙台(12月13日)の7カ所で開催する。

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