バルマー氏、「国内パートナーとの協業強化を約束する」

MSのパートナー総会の場でバルマー氏は「わが社の30年間をパートナーが支えてきた」と語り、今後のさらなる協業強化を約束した。

» 2005年11月18日 10時46分 公開
[柿沼雄一郎,ITmedia]

 11月16日、マイクロソフトは同社製品のリセラーやサービスプロバイダーなどに向けて、「Japan Partner Conference 2005」を開催した。このパートナー総会は、マイクロソフトが同社のパートナーを集めて毎年開催しているもので、年次報告や製品ロードマップ、予定されている施策やビジョンなどが同社幹部によって説明される。

 開会の挨拶に立ったのは、パートナーの前に直接姿を見せるのが初めてとなる新社長ダレン・ヒューストン氏。カナダ出身であることやStarbucksでの経歴などを交えて自己紹介をした。

「テクノロジーを本当に愛しています。私が手にした最初のコンピュータはTRS-80(Tandy Radio Shack製)でした」と自己紹介するダレン・ヒューストン代表執行役 社長

 はじめに説明された2005年度の振り返りでは、堅調な売上増と.NETの認知度向上、そしてパートナーとともにソリューションベースで顧客に提案を行うGo-To-Market(GTM)戦略による協業ビジネスの加速によって、成功を収めた年であるとアピールする。

 今年度は国内のIT市場も活況を取り戻しつつあり、特にIT投資とマーケット需要は安定成長を遂げている。こうした背景でさらにパートナービジネスを発展されるために、マーケティング活動の連携や相互の強みを最大化させるための協業強化の施策を推し進めるという。

 日本のビジネスの動向を知るために過去東京に二カ月間在住したこともあるというバルマー氏は、今回二年ぶりに国内パートナーの前に姿を現した。

「皆さんはわれわれに賭けてくれた。要求は厳しかったが、それがプッシュとなってよりよい結果に結びつけることができて光栄に思う」(バルマー氏)

 マイクロソフトは直販の仕組みを持たないソフトウェア企業である。つまり、製品の販売はすべてパートナーに任されている。バルマー氏は、「ビル・ゲイツとポール・アレンがMicrosoftを設立したときからこのやり方は変わっていない。30年間、パートナーこそがわれわれを支えてきてくれたのだ」と振り返る。

 「これからはWin-Winの(互いに利益を生み出せる)関係で協業を進めていき、ソフトウェアだけでなく、パートナーシップにおいてのイノベーションも推進していかなくてはならない」(バルマー氏)

 国内で中堅中小、地方自治体およびパートナー営業を担当する眞柄泰利氏も登壇。ここ数年、中堅中小、地方自治体におけるMS製品の売上は年率30〜40%の伸びを示しており、特にボリュームライセンスの割合がパッケージを上回ったことを説明した。

 「継続的なパートナーとの協業の成果が現れている」(眞柄氏)

 ただし欧米と比較すると、この市場でのPC導入台数はまだまだ低く、これをパートナーとともに底上げしていければビジネスを大きくできるという。

中堅中小企業市場は「数年後には600〜700億円以上のビジネスになる」とその意気込みを示す眞柄氏

 マイクロソフトの持つ顧客プロファイルをもとにDMやテレセールスを行って、パートナーと案件を共有する、また蓄積した事例をノウハウとして共有するといったやり方で、中堅市場のビジネスをさらに活性化させたいと眞柄氏は述べる。中小についても引き続きリテラシーの引き上げなどの活動を行っていくという。

 こうしたパートナービジネスに対して、同社業務執行役 ビジネスパートナー営業本部 本部長の宗像淳氏は、新年度の支援策展開を発表した。

 新年度の重点事項は主に二点。GTMを軸とした協業の推進と、パートナーのコンピテンシー(得意分野)に応じた支援となる。

「今までの施策は成功している。今後はさらにこれを継続・強化してパートナーとのビジネスの飛躍を目指す」と宗像氏

 パートナーが得意分野に応じたソリューションを示し、マイクロソフトがそれを持ってマーケティングし市場の活性化、ニーズの顕在化を図っていく。その成果に対してパートナーは最小限の投資でビジネスを立ち上げ、両者が協業し支援をする。これが同社の描くGTMシナリオだ。

 宗像氏によれば、こうしたシナリオを実現するために、マイクロソフトはパートナーサポートを強化する。電話による無料相談窓口の開設や、認定パートナーの専任担当者の増強、Webを通じた支援情報提供などである。また、得意分野の強化に向けてはスキルアップトレーニングの実施や新製品のベータプログラムへの優先参加などが提供されるという。

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