コラム
» 2005年12月08日 15時32分 公開

大手ベンダーのサポートが待たれるLinuxデスクトップ

主要PCメーカーによる本格的なサポートが欠如しているのは、Linuxデスクトップの根本的な欠陥である。しかし、Microsoftに立ち向かい、現状を変える気概を見せる企業がいつの日か登場することを期待したい。

[Steven J. Vaughan-Nichols,eWEEK]
eWEEK

 いつの日かどこかの企業が、Microsoftに立ち向かい、だれでも簡単にLinuxデスクトップを購入できるよう現状を変える気概を見せねばならない時が来るだろう。

 12月最初の週末、Linuxデスクトップを完成に近づけるためオレゴンに集った一流のLinux開発者たちには、有り余る尊敬の念を抱いている。

 彼らが素晴らしい仕事ぶりを発揮し、Linuxデスクトップが一般的なユーザーでも扱いやすいよう改良されることは間違いないが、わたしがLinuxデスクトップの根本的な欠陥であると考える問題の解決は不可能だろう。根本的な欠陥とはつまり、主要PCメーカーによる本格的なサポートの欠如である。

 昨今の大手ベンダーは、Linuxに対して前向きな態度を取るようになっている。事実、Dellなどの一部ベンダーは、Linuxデスクトップらしきものを提供している。

 だが、Dellが実際に売り込みをかけている製品の正体は、空っぽのHDDと「FreeDOS」というぱっとしないオープンソースOSを搭載した、価格は高いのに性能は低い「Dimension」PCなのだ。しかもこの製品はLinuxをサポートしていない。

 まったく、なんという“お買い得”商品だろう。

 第一線のベンダーで本物のLinux PCを販売しているのは、Hewlett-Packardだけである。それでも、一般ユーザー向けの「Compaq Pavilion」が欲しい場合は、運がなかったと諦めるほかない。プロフェッショナル用のPCやワークステーションなら入手できるが、地元の量販店で見かけるようなマシンは存在しないのだ。安価だがそれほど高性能ではない、2.66GHzのCeleron-Dを搭載する「Compaq Business Desktop dx2000」が、一般ユーザー向け製品といえる唯一のものだろう。

 だが、Linuxデスクトップの真の普及を図るには、有名ブランドの性能のよい中堅製品に搭載し、各地域の小売店やオンラインショップで販売する必要がある。

 Linuxデスクトップは現時点で、TigerDirectなどの小売企業に「Linspire」(以前の「LindowsOS」)搭載コンピュータを提供するシステムインテグレーター、Wintergreen Systemsや、「MEPIX Linux」を擁するTechalignといった中小企業のものが利用できる。

 しかしながら、大半の人々は二流どころの製品や性能の低いPCを進んで買おうとはしない。名前を知らない企業の製品には金は出さない――単純な仕組みだ。

 本稿の読者やわたしのような人間なら、PCなどどれも似たり寄ったりだということの真相を理解しているだろうが、一般の買い物客はそんなふうには考えない。

 なぜ自社マシンにLinuxを搭載しないのかと大手ベンダーを問い詰めたとしても、需要がないからと返されるのがオチだろう。

 確かに需要はまだ少ない。だが、「Red Hat Desktop」もしくは「SUSE Linux 10」を搭載しているか、「Windows XP Home」を利用しているかという違い以外はまったく同じPCを店の棚に並べ、Linuxマシンを100ドル値引きして販売したらどうだろう。小売店もベンダーも、Linuxマシンがバーモント州の冷え込む朝のホットケーキ並みに次々売れていくのを目にすることになると、わたしは確信している。

 とどのつまり、LinuxはWindowsより安いのだ。

 信じられない? ならばどうしてMicrosoftは、Linuxが勢いを増しつつある国で、「XP Starter Edition」などという廉価版製品を提供するようになったのだろうか(関連記事参照)

 Windowsより安全かつ安価、しかもMS Officeと完全な互換性のある「OpenOffice.org 2.0」オフィススイートが無料で同梱される、か……。わたしなら、Linuxを何と発音すればよいのか皆目見当がつかなくても、絶対に購入するのだが。

 だというのに、家電量販店にはLinuxを搭載したソニーの「VAIO」が置かれていない。大手PCメーカーはいざとなるとMicrosoftにたてつくのを尻込みするというのが、その理由だ。

 サーバにLinuxを搭載して販売するのはかまわないが、デスクトップはMicrosoftの独壇場で、同社にもシェアを譲り渡そうという気はさらさらない。

 Microsoftの独占的なビジネスはとがめを受けたこともあるが、大手のOEM企業は、もしもLinuxをデスクトップの主流とすべく本気で後押しし始めたなら、Microsoftは彼らをつぶすことができるし、つぶすだろうということを身に染みて理解しているのだ。

 それでも、Linuxデスクトップが進化し続け、コストメリットもますます魅力的になりつつある中、勇気あふれるベンダーが早晩反旗を翻し、高機能なデスクトップ製品としてLinuxの提供を始めるだろう。

 そんな日がなるべく早く来ることをわたしは願っている。

 Windowsの愛好者でも、そうした状況を歓迎すべきだ。Windowsオペレーティングシステムが再び適正な価格で販売されるようになるには、これしか道はないのだから。

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