企業はオープンソフトウェアを採用してコストを削減しているTrend Insight(2/2 ページ)

» 2006年01月30日 11時00分 公開
[Jay-Lyman,japan.linux.com]
SourceForge.JP Magazine
前のページへ 1|2       

 オープンソースによるコストの削減ということで言えば、2004年に年間10億ドル以上の収益を上げている組織では、オープンソースにより平均330万ドルのコスト削減を実現しているというのがOptarosの調査結果である。収益が5,000万ドルと1億ドルの間の中規模の企業では平均110万ドル、5000万ドル以下の企業では約50万ドルの削減である。

 コスト削減を実現できるのは、オープンソースのソリューションは、通常は企業単位でのライセンス条件やサポート契約によって制約を受けず、柔軟性があるためだというのが、ギン氏の見解である。「削減したコストの一部はサポートしたいものにつぎ込むことができると思う。どのようにサポートしたいのかを選べるのだ。これは削減した分の大きな部分を占める。オープンソースへの切り替えは費用の節約のためではなく、節約した費用を使ってアプリケーションをニーズに合うようにすることのためと考えている。アプリケーションをニーズに合わせてカスタマイズするのであって、会社をカスタマイズしてソフトウェアにかけた費用に見合うようにするのではない」という。

 IDCのクズネスキー氏によれば、IT費用の30%は実際のハードウェアとソフトウェアであり、オープンソースソリューションによるコスト削減は、必要なサポートやトレーニングを追加せずに、組織のインフラにソフトウェアを容易に組み込めるかにかかっていることが多い。「実際の費用は直接スタッフに集中させる。コンピューティングではこれが大きな費用なのだ」という。

 クズネスキー氏は、Unixのノウハウを持った組織がオープンソースによるコスト削減には有利な傾向があることを指摘し、多くの企業が、オープンソースを使えば自動的にコストも削減できるという考え方にいまだに悩まされていると言っている。「オープンソースは万能薬ではない」のである。

 ハフ氏は、Linuxとオープンソースのソフトウェアは低コストなために使用が促進されているが、ほかにも、進歩やパッチの速やかさといった、ノンプロプライエタリやコミュニティーの開発によるソリューションの有利さがあると強調している。

 「アクティブなコミュニティーでは、こうした特徴が見られるのだ」と彼は言う。

 Optarosの調査では、オープンソースのメリットが強調されているが、さらに浸透させるためには障害もあると指摘している。ギン氏によれば、法的な問題は1年半前は障害となっていたが、こうした問題の大部分はなくなったという。また、SpikeSourceなどの企業が解決すべき次の大きな問題は、オープンソースソリューションのサポートの問題である。

 「サポートがおそらく次の問題となるだろう」とギン氏は言う。「サポートは目下の問題であり、われわれはオープンソースプロジェクトを取り巻くサポートを構築することができると思う。2006年にはサポートの問題は解決するだろう」

 ハフ氏によれば、オープンソースの柔軟性は実際にサポート問題の先導役になるだろうが、問題回避の方法はもっと多くある。「目下のサポート問題を回避する能力を持った企業は多くある。適切な手順と適切なサポート契約があれば、オープンソースソフトウェアのサポートに内在する問題はないと思う」

 サポート問題にひとたび取り組めば、良い方向で解決されるとギン氏は強調する。「これはひどい、互換性もサポートもあったもんじゃない」ということにはならないだろう。

 ギン氏によれば、最後に残された難問はオープンソースソフトウェアの選定と調達であるという。つまり、従来のソフトウェア購入部門は、適切なオープンソースソフトウェアのソリューションを見つけ、調達するためには理想的ではないのだ。「企業は、オープンソースの使用を可能にするためのソフトウェア調達部門の変更方法を考え出す必要がある」

 さらに続けて、適切なアプリケーションをすべてのコミュニティープロジェクトから見つけ出すのは、今でも組織にとっては困難だが、企業が新しいモデルに適応すれば、このプロセスは容易になる、と言っている。

関連キーワード

Trend Insight | オープンソース | Linux


前のページへ 1|2       

Copyright © 2010 OSDN Corporation, All Rights Reserved.

注目のテーマ