Novell BrainShare 2006:2日目リポート(2/2 ページ)

» 2006年03月29日 10時30分 公開
[Joe-'Zonker'-Brockmeier,japan.linux.com]
SourceForge.JP Magazine
前のページへ 1|2       

Linuxへの移行

 BrainShareへの出席前における最大の関心事は、この企業がインストールベースのカスタマーを維持しつつ、いかにしてこれらカスタマーのLinuxへの移行を果たし、同時に新規事業の展開を行ってゆくのか、であった。実際にNovellのカスタマーやISVの人間との間で交わした会話し掛ら判断する限り、同社はインストールベースのカスタマーを上手く扱ってはいるようだが、Novellのカスタマー側の雰囲気としては、Linuxへの移行について消極的のようである。

 私が話したベンダーたちの意見でも、彼らのカスタマーは今後もNovellを使い続けるつもりであり、一部ではLinuxへの関心が高まりつつあるものの、Linuxへの移行自体はいまだ初期段階に止まっている、とのことである。

 良いニュースとしては、Microsoft Windowsへの移行を考えているカスタマーというものに1人も遭遇しなかったこと、そして、企業へのSLED導入に向けて必要な検討をする準備が整っているという何人かと話をしたことが挙げられるが、その一方では、実際に主要業務の一部をLinuxデスクトップにすでに移行した、ないしは、そうした計画を進めているという企業カスタマーは誰もいなかった。そのほかには、Novellの料金体系に関する幾つかの不満が聞かれ、Microsoftのライセンスとの比ではないという声が上がっていた。

 NovellがLinuxへの移行を進めるのであれば、これからの数年間でハードにプッシュをする必要があるだろう。私が見た限りでは、技術上の問題点はほとんどクリアされているか、その寸前にまで来ており、後はNovellのマーケティングとセールスの人間が実際に売り込めるかにすべてがかかっている。

娯楽、ゲーム、エンターテイメント

 衣食住という世界の食物連鎖を考えるにおいて、BrainShareはその頂点に位置しているようである。なにしろ参加者には、朝食セットや昼食用ビュッフェはもとより、軽食用キオスクから十分な食事が給仕がされる。しかも、すでにBrainShareの参加費用に含まれているという意味ではあるが、これらの食事はフリーである。さらにNovellは、ビリヤード台を始め、World of WarcraftやUnreal Tournament 2004などの人気ゲームを取りそろえた小型ゲーム・コーナーまで用意していた。

 参加者はマッサージチェアで体を休めたり、ラウンジエリアに置かれた大画面テレビの前に陣取ってLoveSacの巨大ビーンバッグクッションに体を収めてゴロ寝を楽しむこともできる。私が会場を歩き回っていた火曜日、このラウンジエリアは終日満員で、居眠りをする人間や大画面に映るカレッジバスケットボールを観戦する人間で、すべてのLoveSacクッションが埋め尽くされていた。

 火曜日の夜には、Sponsor Night at BrainShareが割り当てられていた。ベンダーホールには、私が過去に見た中で最大のディスコボールが飾りつけられており、ありとあらゆる種類の食べ物が備えられたテーブルと、オープンバーまで用意されていた。実のところ日中のベンダーホールは、参加者のほとんどがテクニカルセッションに顔を出していたため、それほど混雑していなかったのだが、この夜は人で溢れていた。

 会場への到着前に私が抱いていた予想では、しょせんは単一企業をメインとしたイベントであり、BrainShareといっても小規模なものだろう、というものであった。ところが実際のSalt Palace Convention Centerはかなり巨大な施設であり、しかもNovellはこの全スペースを借り上げていたのだ。注目すべきは、通常の展示会より若干広めのスペースにベンダーエリアが展開されていた点である。

 参加者(および報道)にとって苦痛だったのは、展示会の初日2日間におけるSalt Palaceでの無線アクセスが途切れがちだったことだ。私が月曜日にネットワーク接続を試みたところ、アクセスできるとされていたフリーの無線ネットワークにつながる代わりに、意味不明な有料式の無線サービスのログイン・ページが表示されるという始末だった。

BrainShareは出席するだけの価値があったか?

 私はある程度の時間を割いて、何人かの参加者に、BrainShareには出席するだけの価値があると思うかとたずねてみた。私と話した人間に限っては、展示会全体への不満を持つ者はいなかったが、共通して聞かされた不満として、英語を母国語としない人間にセッションのインストラクターが任されていたため、説明が聴き取れずセッションの内容が理解しにくかった、という意見があった。

 Novellの企業構成からすれば、同社の上級エンジニアやトレーナーの多くが英語のネイティブスピーカーでなくても不思議ではないが、Novellは今回のような問題があることを認識して、インストラクターには聴衆に理解しやすい形でプレゼンテーションをできる人間を準備するよう心がけるべきだろう。

 また一部の参加者からは、内容が慌ただしすぎるセッションがあったという意見もあり、短い時間にたくさんの素材を盛り込みすぎたものがあったようである。とは言うものの、私が話をした参加者のすべてが、出席したセッションの大半は満足ゆくものであったとしており、大部分のセッションは事前の期待を裏切る内容ではなかったものと思われる。

 開催日程は教育セッションで目白押しであった。基調講演のない日のセッションは午前9時に開始され(基調講演のある日は午前11時)、およそ午後5時45分までをかけて、Linuxアプリケーションの開発から、SOAP/XMLを用いたGroupWise構築、SUSE Linuxのパフォーマンスチューニング、Novell製品のロードマップセッションに至る、非常に広範なテーマがカバーされていた。

 BrainShareへの出席によるそのほかのメリットとしては、Novellのエンジニア陣や重役連と比較的容易に接触できることが挙げられる。おそらく大多数のNovellユーザーにとってBrainShareは、Novell CEOのジャック・メスマン氏と顔を合わせて、同社の製品ラインと戦略に関する率直的な意見を直接ぶつけられる唯一の機会だろう。

 参加者の支払う1795ドルの中には、朝食と昼食および幾つかの終了後レセプションの費用だけでなく、Salt Palace近くのホテルまでの送迎シャトルの乗車料金が含まれているが、ホテル代および航空運賃は含まれていない。これに対して、LISA 2005で行われた6日間のトレーニングへの登録料金は3150ドルであり、LinuxWorldへのフルパッケージでの登録は、早期申し込みを利用しなかった場合1995ドルに上っている。

 BrainShareは、ソルトレイクシティのSalt Palaceを会場として、金曜日まで行われる予定だ。

前のページへ 1|2       

Copyright © 2010 OSDN Corporation, All Rights Reserved.

注目のテーマ