インド人に勝てるSEになる顧客満足度ナンバーワンSEの条件〜新人編(4/4 ページ)

» 2006年05月12日 08時00分 公開
[谷川耕一,ITmedia]
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まずは技術力

 目指すところは異なってもまずやるべきことは、基盤となるIT技術や知識の習得だ。どの言語でもいいが、「ひと通り身に付けた」といえる水準のプログラミングスキルが最低限あるといい。できれば、あまり高級言語ではなくハードウェアやOSの動きも理解できるC言語あたりをマスターすると、コンピュータの仕組みまで理解しながらシステムを構築できるようになる。スーパープログラマーになるならば、言語仕様やロジックの組み方、ハードウェア、OSに、より深く精通しなくてはならない。とはいえ、スーパープログラマーへの道はかなり険しい。それなりに覚悟が必要だ。

 一方、CIOを目指すなら、基礎的なIT知識をさらに広げる努力をしながら、最新のIT情報をキャッチできるアンテナを磨くことだ。また、マーケティング能力も重要になってくる。この場合のマーケティングとは、広告や宣伝をするという意味ではない。社内に向かって、きちんと情報システム部の仕事をアピールする能力だ。人との対話、組織の中で物事を推し進める政治力も必要になる。

 優秀なプロジェクトマネジャーを目指すなら、プロセス管理や「人」の管理手法を勉強する必要がある。たとえ、自分でやった方が早くこなせる仕事があったとしても、それをメンバーに割り振り、進捗を管理しながら期限内に成果を上げるといった能力は、机上の勉強だけでは身に付かない。チームでものを成し遂げるには、デジタルな思考だけでなく、相手の気持ちや、やる気をコントロールするようなアナログ的な思考も持ち合わせている必要がある。

 また、業務系のコンサルタントになるには、得意となる領域を早目に決め、その分野の業務知識とそれに必要なITスキル領域を獲得する必要がある。どちらかに偏ることなく、両方の能力を伸ばしておかなくてはならない。そして、業務知識も、机上の勉強だけで賄えるものではない。現場での経験を多く積める機会を持てる環境にいるかどうかが、コンサルタントとして成功するか否かをそのまま決定付けてしまう可能性すらある。

 最後は、独立して企業家を目指すという選択肢である。「将来的に経営者を目指す人」と言い換えてもいい。昨今の企業経営には、ITの活用が不可欠だ。今後企業に求められる内部統制管理を実現する場合においても、ITシステムを駆使することが必須となる。その際に、経営者はITシステムのことはすべて技術者任せというのではいただけない。今後成功する経営者の多くは、何らかのITスキルを持った人になるはずだ。技術者も、もっと経営者を目指すべき時代が来るはずだ。

 漫然と目の前の案件に必要なJavaプログラミングを勉強したり、手当を目当てにベンダー資格を取得したりするのも悪くはないが、今後やって来る強力なオフショアの波に対抗するには不十分だ。最終的な自分の方向性を見極め、段階を追って確実に必要なスキルを身に付けるべきだろう。

 最近では、新たにロシアやカナダの企業によるオフショアリングの話も聞こえてくる。さらなるコスト削減のために、より人件費の安いベトナムをはじめとしたアジア諸国の名前も挙がりはじめている。オフショアリングへの対応は、国内のソフトウェア産業そのものの在り方を左右する大きな問題だ。

 技術力の空洞化対策などについて、ベンダーやユーザー企業だけでなく、政府も含めてどのような方向性を打ち出すかを真剣に考えるべきだろう。オフショアリングによって技術者を取り巻く環境は確実に変化する。変化が訪れたときに、それに対応できるような強い技術者でいられるよう、新人のうちから目標を掲げて技術力アップに努めた方が良さそうだ。

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