企業コンピューティングから見たWeb 2.0(1)顧客満足度ナンバーワンSEの条件〜新人編(2/2 ページ)

» 2006年05月29日 08時00分 公開
[栗原 潔,ITmedia]
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オープンソースとの共通点

 オープンソースのソフトウェア開発は集合知の重要な形態の1つであるといえる。かつてはソフトウェア開発というものはベンダー内の閉じた環境で比較的少数の専門家が開発するのが当然であると考えられていた。しかし、オープンソース開発のモデルにより世界中のプログラマーが協力することでLinuxのような強力なソフトウェアが開発可能なことが明らかになってきた。

 wikipediaも集合知に関連する興味深いアプリケーションだ。wikipediaとは誰もが更新可能なオンライン百科事典である。誰もが更新可能という状況は大混乱を引き起こすだけではと思われていたが、実際にはかなり正確度の高い知識ベースが構築できることが明らかになってきた。これは、オープンソースソフトウェアの開発と似たところがある。大勢の目が監視しているということで、結果的に品質が高いコンテンツ(ソフトウェア)を生み出すことができるということだ。

 ブログも集合知的なムーブメントの1つといえるだろう。不特定多数のブロガー達がトラックバックで相互リンクすることで知識ベースが構築されていく。価値が高いと考えられた情報にはさらに多くのトラックバックが張られ世の中に浸透していく。少数のプロがコンテンツを作り大衆に配信するという従来型のメディアのビジネスが消滅することはないだろうが、大衆自身がコンテンツを作るというは急速に進んでいる。ブログ現象もそのひとつの現れだ。

 これらの集合知のムーブメントは単なる一時的流行の域を超えたメガトレンドであるといえるだろう。もちろん、これらをどうビジネスに結びつけていくのは大きな課題だ。しかし、かつては一部のテクノロジー信奉者の夢物語としか思われていなかったオープンソースソフトウェアが、今日のIT産業において重要な位置を占めているように、さまざまな集合知の応用がテクノロジー的な興味対象を越えて、リアルなビジネスになっていく動きはこれからも加速していくだろう。

 次回は、Web 2.0のほかのアプリケーション要素について論じるとともに、インフラストラクチャ要素についても解説していくことにしよう。

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