IBMとダッソー、航空機部品の加工効率化を支援

日本アイ・ビー・エムとダッソー・システムズは加治金属工業が「CATIA V5」を活用して同時五軸加工を効率化し、5軸のNCデータ作成における生産性が従来の約4倍に向上したと発表した。

» 2006年07月20日 00時00分 公開
[ITmedia]

 日本アイ・ビー・エムとダッソー・システムズは7月19日、航空機部品メーカーで米Boeingの認定工場である加治金属工業が、IBMとダッソー・システムズのPLMソリューション「CATIA V5」を活用して同時五軸加工を効率化し、5軸のNCデータ作成における生産性が従来の約4倍に向上したと発表した。

 航空機業界における近年の部品製造では、部品単体の生産から複数部品をアセンブリしたコンポーネント生産への対応や、複数部品を1つにまとめ、組立不要とする部品構造への移行が進むなど、部品形状の複雑化が進んでいるという。一方で、昨今の航空業界の活況により、製造する部品の種類とロットの両方が増大しており、加治金属では部品1つあたりに掛けられる時間が毎年半減していく状況にある。

 加治金属では、取引先や関係企業においてCATIA V5への移行が進んでいることを踏まえ、2003年12月にCATIA V5のハイブリッド・デザイン2を導入。治具設計への本格的なCATIA V5の活用をはじめ、取引先とのCATIA V5によるデータ連携強化に向けて準備を整えた。

 さらに同社は、複雑化、高度化する顧客ニーズにこたえるため、高速で高精度な5軸NC加工のためのCAMシステム「CATIA アドバンス・マシニング2(AMG)を導入した。NCデータ作成とモデリングを直接的に連携できること、設計から組立まで一貫生産体制を取る同社の方針に合致したこと、また、複雑化が進む部品構造や加工形状にも思い通りに対応できる柔軟性や拡張性があったことを評価し、CATIA V5を選択した。

 2004年9月から、加治金属はCATIA V5を活用した5軸NCデータの作成を開始。治具設計と加工形状のモデリングを統合し、実際の加工状態を表現する「バーチャルマシニング」で、加工の経過を再現しながらCAM作業を行った。

 ハードウェアとして使用したIBMのIntelliStationのグラフィック性能は、自然でリアルな加工シミュレーションを実現したという。結果として、導入して約20カ月の間にのべ200アイテムを超すNCプログラムを作成した。これは、従来のCATIA V4と手書きスケッチによる手法での工数と比べると、3分の1で済むようになったことになる。さらに、部品形状の複雑化も勘案すると、約4倍の生産性向上を達成している。

 今後、加治金属はCATIA V5の特徴であるナレッジウエア機能やパワーコピーなどを活用した設計の自動化を推進し、さらなる生産リードタイムの短縮に注力していく予定だ。また、膨大なデータを効率的に管理することが求められる中で、顧客との設計情報の共有や、取引先企業の要望に即座に対応した関連データの提出などができる仕組み作りを計画中だ。

 同社は、これまでに培った航空宇宙分野での高い技術と一貫生産体制のノウハウを生かして、半導体関連製品やロボット、高速鉄道などほかの先端技術フィールドにも挑戦する考えであることを明らかにした。

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