新任のFedoraテストリード、仕事に取り掛かる(2/2 ページ)

» 2006年07月25日 08時03分 公開
[Bruce-Byfield,Open Tech Press]
SourceForge.JP Magazine
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Fedoraのテスト手続きの体系化

 ウッズ氏によれば、Fedora Testingプロジェクトへの参加に関心を示しているのは、今のところほんの一握りの人々である。彼はそれらの熱心なテスターの参加を歓迎しており、彼らの参加がテスト計画の策定や自動化ツールの改善に役立つものと期待している。しかし、ディストリビューションのリリースに必要なテスト量を考えると、それらのテスターだけで必要な作業はこなせないと思っている。

 同時にウッズ氏は、さらに多くの人々を参加させることが難しいことも分かっている。「ソフトウェアのテストは魅力的な仕事とはとうてい言い難い」と彼は素直に認める。「テスト好きのリーナス・トーバルズなどいないし、それが自覚されることもない」

 ウッズ氏は、テストに参加する障壁が開発のそれよりずっと低いことにテスト要員補充の望みをかけている。「ソフトウェアを使用することは同時にそれをテストすることでもある」と彼は言う。彼の目標は、Fedoraコミュニティーの多くのメンバーが、ほんのわずかな時間でもテスト計画の実施に貢献するよう仕向けることだ。

 「わたしが望むのは、正式のソフトウェアテストに入る障壁を低くすることだ。われわれがすべきことは、例えば、適当なWebサイトにテスト計画一式を置き、そこでユーザーが個々のアプリケーションをテストできるような体制を整えることだ。各人に5分だけ貢献してもらうことができれば、その全体をまとめればよい。この方が、ロックスターのテスターが一人でテストするよりも、多くのテストが行われる余地があるだろう」

 ウッズ氏は、この種のテストがそれ自体ではフリーソフトウェア開発の場で行われている専門家による評価の役立たないことを認めている。しかし、そのことにそれほど多くの問題があるとも考えていない。「テストを積極的に間違えようとする人がいるとは思えない。例え間違えてもプロジェクト全体への影響は小さいので、問題にならない」と彼は言う。

 時間があれば、ウッズ氏はFedoraコミュニティーのメンバーにテストの重要性を教えたいとも考えているが、まだ具体的な計画は固めていない。「いずれそのときが来る」と彼は言う。「ここでわれわれが述べている原則を適用しようとすると、人々にもっと多くを語ることになると思う」

ロードマップの設定

 取材時点でウッズ氏は、Fedora Boardに正式のプロジェクトと認定してもらうために、Fedora Testingのロードマップを起草しているところだった。彼はRed Hatの社内テストの第一弾がまもなく提供できるものと考えており、この夏の終わりまでには、そのフルセットがFedora Core 6テストリリースに統合されると予想している。「基本的にはRHELと同じテストに通す予定だ」と彼は言う。Fedora Core 6のリリース後、テストラボをRed Hatの外部に移し、Fedoraコミュニティーの誰もが利用できるようにするつもりだ。

 ウッズ氏は、自分がFedoraのリリースサイクルにできるだけ速やかに組み込まれることを望んでいる。「Fedoraリリースチームにはリリースのための一連のプロセスがあり、わたしはそのプロセスに関係しなくても最終的には少なくとも通知をもらえると期待している。テストがうまくいく見込みがまるでなければ、わたしはそのことを知らせるつもりだ。予定を変更したり、それを受け入れたりするのはコミュニティーの利益を考えて行うべきだ」

 SlashdotでFedoraを排斥する人々とは反対に、ウッズ氏はテストによってFedoraのリリースが遅れても、Red Hatから圧力を受けることはないと予想する。「無論、RHELへの義務はないが、多くのコードが共通するので、Fedoraに問題ありとなればRHEL にも問題があることになる。従って、Fedoraで発見された問題が予定の変更を引き起こすほど重大なものなら、Red Hat側のテストと開発組織の編成に全力を注いで問題に取り組むことになる。それゆえ、わたしは巨大な問題が生じるとは考えていない」

 「わたしは人々がテストを開発の一部と考えるようになってもらいたい。これはソフトウェア工学の共通のテーマだ。何かがある段階まで成熟すると、厳密な回帰テストやそういった類のものに着手せざるを得ないのである。わたしはオープンソースコミュニティーもそれが必要だと考える。実際、わたしがこれを人々に伝えるまでもない。人々はテストの重要性を分かっているからだ。わたしの本当の目標は、テストをもっと簡単にすることだ」とウッズ氏は言う。Red Hatの社内テストソフトウェアをFedoraに組み込み、Fedoraのテスト手続きを厳密なものにすることで、その効果がFedoraだけでなく、フリーソフトウェア全体におよび、ついでにFedoraを誹謗する人々を、これを限りに黙らせることになればよいとウッズ氏は期待している。

Bruce Byfieldは講座立案者・講師を務める傍ら、コンピュータ専門誌記者としてNewsForge、Linux.com、IT Manager's Journalに定期的に寄稿している。


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