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» 2006年08月09日 07時00分 公開

中学生でもサクサク読めるIRページを目指そう個人投資家がいつも立ち寄るIRページの秘密(1)(2/2 ページ)

[アイティセレクト編集部]
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社内用語で説明するな。噛み砕く努力を

 (1)の株価については、まだまだ自社のサイトから証券会社のサイトに飛ばしている企業が多いように思えるが、米山氏は「IRサイト内に貼り出されているのが理想です」と語る。投資家にとってその会社の株価が真っ先に気になるのが当たり前。一番知りたい情報への到達時間を最短にする意識は持っていたい。(2)の最新のニュースを掲載するのは当然のように思えるが、なかなか実現できていない企業も多い。しかしニュースが少ない企業というのは、投資家としては魅力に乏しい企業に映るのは当然だ。(3)の自社の概要説明について米山氏は次のように説明してくれた。

 「自社が何をやっているかを説明するということは、自社のビジネスモデルを説明するということです。どうやって利益を出し投資家に還元できるのかを説明できなければ、その会社は金を集めることはできないのです。その時、社内用語を使っていくら解説しようとしても無理なのですが、意外と平気な顔をして専門用語を列記している企業が多い。個人投資家に対しては平易な日本語を心がけなければならないのです。米国では『プレーンイングリッシュ』といって、投資家への報告には易しい英語を使わなければならないという規定があります。米国の書店には『プレーンイングリッシュ』の専用コーナーがあるくらいです」

 何事によらず、優しい言葉で説明することは大変難しいことだ。これを少しでも実現するには、社内用語、もしくはそれに準じる言葉を洗い出し、どう表現するかを時間をかけて検討していく必要があるだろう。『プレーンイングリッシュ』ならぬ『プレーンジャパニーズ』は中学生が普通に読みこなせるレベルだと考えていいだろう。(4)の個人投資家を意識したサイト作りとはそうした作業も含むのだと考えるべきだ。

 (5)、(6)については当然といえば当然と思えるが、クリアしている企業ばかりとはいえないのが実情のようだ。更新日やIRページに到達するクリック数は、個人投資家がその企業に抱く信頼性にも関連してくる。

 「IRサイトは何のためにあるか。それは投資家から変わらぬ信頼を得るためにあるのです。インターネットの登場でその信頼を得るためのコストが大幅に低下しました。企業はメディアの手を借りなくても自ら世界の投資家に対して情報発信できるようになったのです。更新日も曖昧で、なかなかIRページに行き着けないサイトを作っている企業に投資家は信頼感を抱きません」(米山氏)

情報開示の水準維持

 同時に米山氏は、情報開示の水準の維持に対しても気配りが大切だと話す。企業にとって良いことも、悪いことも質的に同じレベルでサイトに開示することが大切だという。そしてこの情報開示の水準を証明するためにも、情報開示のルール、つまりディスクロージャーポリシーをサイトで開示することが大切だと説明する。

 情報開示の水準はIRサイトに時々登場するアナリストリポートなどにも関係することである。つまり、都合の良いことしか言わないアナリストばかりを集めて自社サイトで情報開示をしているのでは、という疑念を投資家に抱かせない気配りということだ。「アナリストカバレッジ」という項目を設け、どの企業のどのアナリストが自社について分析をしているかということを明示する必要がある。そしてこの人たちの意見が全てではないという注意喚起も大切だ。

 米山氏はウェブの関連技術の進展についてIR担当者は常にウォッチしているべきだと語る。

 「RSSの技術で更新情報は逐次知らせることができるようになった。これまでのプッシュ型からプル型のスタイルで投資家と接点が持てるようになる。今後はこうした技術を利用した新しいウェブIRのスタイルがどんどん出てくるでしょう」

 使う言葉を噛み砕き、あらゆる手段を使って投資家との接点を増やすことが肝心ということだろう。

この記事はアイティセレクト9月号掲載のものを再編集したものです。



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