Microsoftの新体制は今どうなっているのか?――ビジネス分野編(2/4 ページ)

» 2006年09月08日 07時00分 公開
[Matt Rosoff,Directions on Microsoft]
Directions on Microsoft 日本語版

プレミアムSKUの販売
 VistaではHome Premium、Enterprise、Ultimateなど、Windows XPにはなかったプレミアムエディションがいくつか用意される。Microsoftはこれらのエディションを展開することで、Windows全体の販売数に占めるプレミアムエディションの割合を、2007年度は現在の52%から54%に拡大したいとしている。プレミアムエディションは標準のエディションに比べて価格が高いため、プレミアムエディションの販売割合を引き上げることができれば、PC販売の成長鈍化と新興経済市場での低価格エディションの販売による目減り分をカバーできるだろう。

正規Windows推奨プログラム
 Microsoftは引き続き「正規Windows推奨プログラム」を推進していく。同プログラムは、海賊版ではなく正規のWindowsの購入を促進する取り組みだ。Johnson氏はさまざまな活動の一例として、中国での8700名のOEMチャネルパートナーと13万人の販売担当者(小売店、再販業者、代理店)を対象に、正規Windowsの購入をユーザーに納得させる手法を指導するトレーニングを紹介している。また同氏によると、Vistaでは正規品を使用していることが検証(海賊版を使用していないことが電子的に証明)されなければ、一部のプレミアム機能は使用できないという。

ビジネス部門:Office、Exchangeを含め4事業を統合

 Jeff Raikes氏が指揮をとるビジネス部門は、同氏がこれまで監督してきたインフォメーションワーカー部門(Officeをはじめとする企業向けの生産性およびコラボレーションアプリケーション)、Microsoft Business Solutions部門(ビジネス管理アプリケーションのDynamics製品ライン)、Exchange Serverグループ(これまでサーバ&ツール部門の統括下にあったグループ)を統合して誕生した部門である。

 ビジネス部門が誕生する前の2006年度の業績は、インフォメーションワーカー部門は5%の増収、Business Solutions部門は予想(11〜13%)を上回り17%の収益成長を記録し、同部門設置から初めての黒字を達成した。Exchangeの財務業績については、これまで予想も実績も公表されたことはないが、旧事業部と新事業部のデータを比較して算出したところ、2006年度の収益は18億ドルを超えていると思われ、ビジネス部門の製品としてはOfficeに次ぐ主力製品となる。

 Microsoftでは、OfficeやExchangeなどほぼすべての担当製品の新版がリリースされる2007年度のビジネス部門の収益成長率として9〜10%を予想している。この数字の裏付けとなるのは、2006年度第3四半期と第4四半期にかけてインフォメーションワーカー部門が記録した10億2000万ドルという総前受収益における過去最高の増収である。これは、多くの企業ユーザーが翌年の製品リリースを見越して、第4四半期に複数年のライセンス契約を新規購入または更新していることを示している。

 FAMにおいてRaikes氏はビジネス部門が参戦している4分野の状況を概説し、各分野で成功するためにMicrosoftがなすべきことを述べた。ビジネス部門の目標達成を助けるリセラーやシステムインテグレータは、パートナー紹介や営業支援などの恩恵にあずかることができそうだ。

コアの生産性製品
 Raikes氏によると、旧バージョンを使用する企業ユーザーの反応は、かつてないほどに厳しいという。次期リリースにアップグレードする十分な理由を示せないという、Microsoftがよく言うところの“これで十分(good enough)”問題である。またRaikes氏は、OfficeのライバルであるOpenOffice、StarOffice、IBM Workplaceも同じ類の障害であるとしている。つまり、これらの競合製品はOfficeの旧バージョンを“複製”し、Officeの旧バージョンを所有していないユーザーで、新しいOfficeの価格が高すぎると考えているユーザーを獲得しようとしているという。成長を維持するため、この事業分野では以下の点に注力する必要があるとRaikes氏は述べている。

  • Officeの最新バージョンが必要になるSharePoint ServerまたはWindows SharePoint Services(Windows Serverのコンポーネント)を企業ユーザーに訴求する。
  • 特に企業ユーザーに、より価格の高いプレミアムエディションのOfficeを販売する。
  • 新興市場でのOfficeの販売を増加する。

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