Microsoftの新体制は今どうなっているのか?――ビジネス分野編(3/4 ページ)

» 2006年09月08日 07時00分 公開
[Matt Rosoff,Directions on Microsoft]
Directions on Microsoft 日本語版

ビジネス管理アプリケーション
 Raikes氏によると、ビジネス管理アプリケーション市場は、コアの生産性アプリケーション市場よりも早く成長しているが、Officeが生産性アプリケーション市場をほぼ独占している状態と比べるとMicrosoftのシェアはかなり小さいという。しかし、同氏はほとんどのベンダーのビジネス管理製品、特にERP(enterprise resource planning)製品に対する顧客満足度は低いとしている。

 また、中間市場におけるIntuitやSage、エンタープライズ市場におけるOracleやSAPなどのMicrosoftの競合各社は、Microsoftと比べて弱い販売チャネル、高価格、必須とされる高価なサービス契約、分かりづらい製品ロードマップなど、Microsoftがアドバンテージをとることができる弱点があるという。今後3年をかけて、Microsoftはこれらの弱点を突いて駒を進めていく見込みだ。

 また、Dynamics製品をOfficeと統合し、Officeと同様のユーザーインタフェースを中心にDynamics製品を開発することで、エンドユーザーが学習および操作しやすい製品を提供する。しかしRakes氏は、同部門が抱える最大の課題については言及を避けた。つまり、互換性のないDynamics ERPラインの4製品から単一のERP製品への移行は将来避けられないが、この移行に際してパートナーや潜在ユーザーをどのように支援していくかについての説明はなかった。

統合コミュニケーション
 Raikes氏は、電子メール、インスタントメッセージング、VoIPなどIPベースのコミュニケーション製品が含まれるこの分野には、莫大なビジネスチャンスが存在していることを示した。Microsoftは、統合コミュニケーション製品の市場規模は2009年には450億ドルに達すると見ている。これは、コアの生産性製品とビジネス管理製品を合わせた規模にほぼ匹敵する。

 Microsoftはこのビジネスチャンスを活かすべく、使用するデバイスの種類(ホームPC、職場でのPC、携帯電話)を問わず、管理しやすい同一のIDをユーザーが利用できるようにし、Officeとの統合を進めて使いやすさを追求していく予定だ。ただしRakes氏は、同社はこの分野での信頼をまだ勝ち得ていないため、強いパートナーシップを確立する必要があることを認めている。その取り組みの一例として、Rakes氏は2006年7月に締結したNortelとの提携を挙げている。この提携で、NortelはMicrosoftのリアルタイムコミュニケーション製品を補完するハードウェアとサービスを提供することに同意している。

ビジネスインテリジェンス
 ビジネス部門にとって重要な分野であるとし、最近発表されたSAPとの共同開発製品Duetや、PerformancePoint Server 2007などの取り組みを紹介している。DuetはOfficeアプリケーションからSAPシステムのデータを取得できるようにする製品であり、PerformancePoint Server 2007は財務データ分析用の新しいサーバ製品(基本的にBusiness Scorecard Managerの後継製品)である。

 最後にRaikes氏は、ビジネス部門にとってOffice LiveやLive Meetingなどオンラインサービスが持つ重要性に触れたが、既存のソフトウェアに代わりサービスを中心に据えるのではなく、サービスはソフトウェアを補完するものとしてあくまでもソフトウェアを中心に取り組んでいくことを強調している。

サーバ&ツール部門:好調なSQL Serverが牽引

 上級副社長のBob Muglia氏(Kevin Johnson氏に直属)が率いるサーバ&ツール部門は、引き続きMicrosoftの収益成長の旗頭であり、2006年度は15%の増収を達成している。MicrosoftはExchange Serverが抜けても、同部門は2007年度も同程度の成長を維持できると予想している。この成長を牽引するのは、主に2006年度に30%の収益成長を見せたSQL Serverになるだろう。また、エンタープライズ市場においてプロプライエタリなUnixベースのハードウェアとソフトウェアから、Intelベースのサーバへとシフトする傾向が続いていることも大きなアドバンテージとなると期待を寄せている。

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