電子自治体への取り組み、その現状が明らかに驚愕の自治体事情(1/4 ページ)

岐阜県、横須賀市、長沼町。この3自治体にはある共通した因子が存在することがある調査の結果浮かび上がってきた。人口規模や産業構造的に近い自治体についてよく知ることは、今後重要なポイントとなりそうだ。

» 2006年10月12日 09時00分 公開
[西尾泰三,ITmedia]

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 本特集「驚愕の自治体事情」ではこれまで、地方債の金利の差異や、格付け機関によるランキング、さらには調査会社によるブランド調査の結果などを通して、どの地方自治体が住みやすいのかについて間接的ではあるが述べてきた。

 今回は、よりドリルダウンした内容として、地方自治体の情報化に着目した。折しも、この分野の調査をここ数年にわたって実施されている摂南大学経営情報学部の島田達巳教授が、2006年度の電子自治体進展度調査をまとめている。

 この調査は、摂南大学経営情報学部島田達巳教授、久保貞也助教授らによって行われたもの。情報化による「成果」を重視するという行政経営の視点を重視した調査・分析がなされているのが特徴の同調査は、2004年から毎年実施されており今年で3回目を数える。2005年の調査結果については、島田教授自らが語るこちらの記事が詳しい

 今回は、2006年6月17日から約1カ月にわたるインターネットを使ったアンケートが47都道府県、802市・特別区、1041町村を対象に行われた。回答率については、都道府県レベルで若干下がったものの、市・特別区、町村では上がっており、全体としてはこの種の調査としては高い回答率といえる58.6%となっている。なお、自治体によっては、質問の内容が機密事項に当たるとして回答しないケースも存在する。こうしたランキングで下位であることが劣った自治体であることと同義ではないので注意してほしい。

 調査項目は「庁内情報化」「行政サービス」「情報セキュリティ」の3領域に分かれており、それぞれの領域で以下のような項目を評価している。

  • 庁内情報化:ITインフラ、電子入札や決裁の導入、業務効率の向上や省力化など
  • 行政サービス:Webサイトでの情報公開や施設予約、住民の利便性を向上させる情報活用、住民の満足度など
  • 情報セキュリティ:PCのセキュリティ対策、情報セキュリティ教育、継続的なセキュリティの改善など

 また、評価のポイントとしては、コールセンター、災害弱者、SNSなど住民へのサービスが積極的に評価されるほか、職員向けのIT教育、住民向けのIT講習会、情報セキュリティ教育などの組織や地域のIT能力も評価される。

 この調査における総合ランキング上位は以下のとおりだ。

区分 1位 2位 3位
都道府県 岐阜県 兵庫県 島根県
市・特別区 横須賀市 藤沢市 豊中市
町村 長沼町(北海道) 辰野町(長野) 紫波町(岩手県)

 以下では、それぞれのランキングの詳細と、その選出理由を見てみよう。

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