日本法人の社長就任から18カ月が過ぎたヒューストン氏は、日本のITエンジニアが置かれている状況も大きな課題だと指摘する。
「企業のITエンジニアは楽しくない? 楽しいのはWeb2.0だけ? わたしはそうは思わない。同じITに違いはないはずだ。ただし、大きな問題があるとすれば、日本はデジタルワークスタイルという観点で遅れているということだ。セキュリティが十分でない環境だったり、最新のソフトウェアが導入されていない環境では、開発者やITプロフェッショナルの仕事は楽しくないはず」とヒューストン氏。
例えば、日本のITプロフェッショナルは、週末に出社してサーバをリブートしたり、パスワードのリセットを手作業で行ったり……。必要なツールがないために、エンドユーザーのニーズにもこたえられない。
「わたしが、大切なファイルをなくしてしまっても、ITプロフェッショナルに依頼すれば、ちゃんとファイルが戻ってくる。そうしてもらうと、ユーザーはどう感じるだろうか? コンピュータが動かなくなっても、リモート診断してくれて、さらに前よりも良い状態に改善されたとき、ユーザーはITプロフェッショナルに感謝の気持ちを抱くだろう。こういうことができるツールはすでに存在する。これを使えば、仕事は楽しくなる」(ヒューストン氏)
また、経営層がスコアカードが欲しいと言っても、メインフレームのような環境であれば、その構築に何カ月も要してしまう。日本の経営層も幸せではないし、日本の開発者も幸せではなくなってしまう。
「ある意味、悪循環に陥ってしまっている部分がある。先ずやるべきは、日本の企業に対して近代的なプラットフォームに移行してもらうことを強く推奨していくことだ。例えば、Visual Studioを使えば、一晩でプログラミングできたり、Webサイトを開設することもできる。機械的な作業ではなく、創造性の高いところに力を注ぐことができる。こうしたビジョンをエバンジェライズしていくのが、マイクロソフトの責任であり、そこの力を注ぎたい」(ヒューストン氏)
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