Windows Vistaガジェットで知る“Live”Windows Liveが魅せる次世代マッシュアップ(3/3 ページ)

» 2006年12月12日 08時00分 公開
[大澤文孝,ITmedia]
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サイドバーガジェットとLiveガジェットの違い

 すでに1回目でも説明したように、「Vistaサイドバーガジェット」と「Liveガジェット」とでは、互換性がない。

 大きな違いは、Liveガジェットの場合には、コンストラクタ、initializeメソッド、disposeメソッドといった仕組みでガジェットを構成していくのに対し、サイドバーガジェットの場合には、そのようなメソッドを使わないという点だ。

 サイドバーガジェットは、端的に言えばWindows Vistaのデスクトップ上に、「HTMLを表示するための小さなウィンドウ」を用意し、そこにマニフェストで定義したHTMLを表示するというだけの機能にすぎない。

 実際、マニフェストファイルとなっているリスト6では、次のようにしてリスト7のHTMLファイルを指定している。


"<base type="HTML" src="https://image.itmedia.co.jp/enterprise/articles/0612/12/MyGadget.html" /">

 これによってリスト7のHTMLがサイドバーガジェットとして表示される。

 リスト7の中を見ると分かるが、これは一般的なHTMLとJavaScriptのコードの組み合わせであり、サイドバーガジェットに特有の機能は使っていないことが明らかだ。

 強いて言えば、次のようにサイドバーガジェットのサイズを設定するために、body要素にCSSを設定している程度だ。


"<body style="width:300px;height:200px;"">

 そのためサイドバーガジェットは、Liveガジェットに比べ、はるかに作成が容易だ。

 もし、Webアプリケーション向けの小窓で動くJavaScriptアプリケーションを開発しているなら、マニフェストファイルを作るだけで、サイドバーガジェット化が可能であろう。

 ここでは詳細に触れないが、LiveガジェットのAPIとサイドバーガジェットのAPIとでは、提供されるものが、まったく異なっている。具体的に言えば、設定値を保存するための方法や、ネットワーク通信するための方法が違ったものなのだ。

早期の正式版が望まれるLiveガジェット

 このLiveガジェット開発連載では、β版環境を元にして紹介してきた。このこともあり、実践的な資料が少ないというのが筆者の感想だ。

 ネットワークプロキシや設定値の保存といったオブジェクトの解説はあるが、それ以外にも、Windows Liveで提供されるオブジェクトは、数多い。

 例えば、5回目で触れたRSSフィードのパース方法だが、これに関するAPIのドキュメントが整備されていないなど、開発におけるハードルも見受けられる。しかし、このような点を考えても、Liveガジェットにおける今後の広がりは未知数の可能性が秘められている。

 このような点から、現状、Liveガジェットを行っていくためには、既存のLiveガジェットのソースを見て学んだり、ときにはASP.NET AJAXの仕様とも比較したりしながら、試行錯誤で開発していく必要がある。

 マイクロソフトでは、将来的に「Liveガジェット」「サイドバーガジェット」「サイドショーガジェット」で、同じようなAPIを提供するとのことで、こちらも期待できる。

 しかし、本稿の最後で示したように現状では、「Liveガジェット」と「サイドバーガジェット」では、コードの構造そのものが違うため、どのように統一されていくのか注視していきたい。このような背景から、まず望まれるのは、正式版の公開とドキュメントの充実だといえるだろう。

 繰り返すが、将来を見据えればLiveガジェットの存在を無視することはできないというのが感想だ。すでにWindows Liveでは、メッセンジャー機能を提供する「Windows Live Messenger」やセキュリティやメンテナンスを統合管理する「Windows Live OneCare」やブログや写真を共有する「Windows Live Spaces」など、幾つかのサービスが始まっている。今後も、さまざまなサービスが充実していくのは間違いないだろう(関連リンク)

 このようなサービスの拡充により、Windows Liveでは、個人が必要とするさまざまなサービスが、ひとまとめになっていく可能性がある。現在のところ、多くのユーザーは、Webブラウザのスタートページを検索ポータルにしていると思うが、今後は、スタートページがWindows Liveに変わっていく可能性が高い。

 実際のところ、Windows VistaではInternet Explorerの標準スタートページがWindows Liveになっている。

 このようにLive環境がVistaによっていっそう広がりを見せたとき、インターネットサービスを提供する事業者は顧客を取り込むツールとして、Liveガジェットが有望視されていくことは想像に難しくない。

 なお、冒頭でも触れたようにオンライン・ムックPlus「Windows Liveが魅せる次世代マッシュアップ」では、“Liveガジェットのアイデア募集”を行っている。読者から寄せられたアイデアは、本特集上で優秀作やアイデア傾向などを紹介していく予定だ(募集は2006年3月まで)。

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