ホーチミンで発表された4つの機能強化や新製品は、派手さはないものの、いずれもストレージ環境の統合と仮想化を加速し、安全性を高めるものだ。
「HP StorageWorks EVA File Services」は、NASアプライアンスやファイルサーバの機能をStorageWorks EVAが提供できるようにするもの。アプリケーションのブロックデータとファイルデータを同じStorageWorks EVAに統合できるため、管理が簡素化でき、また投資や管理のためのスキルをそのまま生かすことができるという。
NASゲートウェイである「HP ProLiant DL585 G2 Storage Server」は、MicrosoftのWindows Unified Data Storage Server 2003を活用し、マルチプロトコルのファイル/プリントサービスとiSCSIの接続性をSAN環境で実現する。アプリケーションのためのストレージとファイル/プリントサービスを1つの環境に統合するもので、やはりIT資源の効率化や柔軟さを実現してくれる。
HPは他社に先駆けて昨年秋、ブレード型のストレージ「HP StorageWorks SB40c」を市場に投入したが、今度はHP BladeSystemに組み込むことができる4Gbpsのファイバーチャネルスイッチ「Cisco MDS 9124e Fabric Switch for HP c-Class BladeSystem」を発表した。統合されたデザインによって、ラックスペースを有効に活用でき、電源やクーリングはエンクロージャーのものを共用できるという。
ストレージ環境が統合化されると、バックアップ作業も集中化されるようになるが、今度はその安全性を高めることが求められるようになる。HPはこの日、「HP Data Protector Software 6.0」に256ビットのAdvanced Encryption Standard(AES)暗号化機能を追加した。
HPのStorageWorks事業部門が目指すのは、アダプティブインフラストラクチャーの一翼を担うストレージだ。シュルツ氏は、それを実現するためのイネーブラーとして、「ITシステムとサービス」「電源とクーリング」「マネジメント」「セキュリティ」「仮想化」、そして「自動化」を挙げる。
すでにITシステムとサービスでは、EVAにおいてファイルサービスが提供されるように統一化が進んでいる。また、マネジメントでは統一された環境から管理できるHP Storage Essentialsが拡充されている。バックアップも暗号化されセキュリティも高まった。仮想化機能はEVAが長年提供してきている。
StorageWorks事業部門としては、6つのうちのこれら4つの領域にフォーカスし、自動化されたデータセンターへの道のりを着実に歩んでいる。シュルツ氏は、「これはモックアップ」と断りながらも、「StorageWorks Utility Manager」のユーザーインタフェースを披露した。IT管理者はアプリケーションを選び、それが必要とする容量やパフォーマンス、可用性のレベル、許容できるリカバリーまで時間などを設定していくだけで、ビジネスのニーズに応えるストレージ「サービス」を即座に提供できるようになるという。
「今は経験豊かな技術者が複雑なプロセスで実現しているが、われわれが目指すのは仮想化され、自動化されたデータセンターであり、それこそがアダプティブインフラストラクチャーだ」(シュルツ氏)
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