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» 2007年07月30日 07時00分 公開

ITトレンドの“眼”:MSがエンタープライズサービス事業を強化する本当の理由

MS日本法人がエンタープライズサービス事業を強化した狙いはどこにあるのか。そこには顧客満足度の向上という大命題とともに、次期経営体制に対する“登竜門”との意味合いもありそうだ。

[松岡功,ITmedia]

 「マイクロソフトは企業向けにさまざまなプロダクトを提供しているだけでなく、ソリューションも豊富に取りそろえている。当社にとって新年度となる今月からはサービス事業にも積極的に投資を行い、一層力を入れていきたい」

 マイクロソフト日本法人のデジタルワークスタイル(企業向け取り組み)分野の責任者である樋口泰行 代表取締役兼COOは、7月26日に開いた「エンタープライズサービス事業体制の強化」を発表した記者会見でこう強調した。具体的な強化内容としては、現在約250人のエンタープライズサービス事業部門の人員を、今後3年間で500人以上に倍増させるという。

 また、今期のエンタープライズサービス事業における重点施策として次の4つを掲げている。

 第1は、「オファリング(パッケージ化されたサービス)」によるサービスの提供。これにより、プロジェクトの具体的な成果を顧客およびパートナー各社に明示するとともに、新製品・新技術採用によるリスクを軽減する。第2は、基幹システム向けサービスの提供。米本社製品開発部門やパートナー各社と連携し、Windowsプラットフォームベースでのミッションクリティカルシステムの設計/開発、展開、運用までをカバーする包括的サービスを提供する。

画像 新年度のデジタルワークスタイルの注力分野を説明するマイクロソフト日本法人の樋口泰行 代表執行役兼COO

 第3は、パートナー連携の強化。同社がこれまで培ったノウハウをはじめとする知的資産をパートナー各社に対して積極的に提供することで、技術移転を推進し、パートナー各社のビジネスを支援する。そして第4は、製品品質・機能の向上。早期導入プログラムなどを通して顧客およびパートナー各社との協力関係を深め、製品開発、展開、運用の各段階における製品品質と機能の向上を図っていく。

顧客満足度の向上に貢献するのが大命題

 こうしたエンタープライズサービス事業の強化に向け、同事業を担当する平野拓也 執行役常務は、「当社にとってのサービス事業の強化は、売上高の拡大に大きく寄与するというより、顧客満足度の向上に貢献するというのが大きな命題」と語る。

 また、エンタープライズビジネス事業、いわば「営業」を担当する平井康文 執行役専務も、「今後はこれまで以上に営業部隊とサービス部隊が密接に連携し、当社がモットーとして掲げているお客様のための“One Microsoft”を実現していきたい」と力を込める。

画像 「“One Microsoft”を実現する」と平井康文執行役専務

 同社のエンタープライズサービス事業は、1994年に運用・保守サポートを中心として顧客ごとに対応してきた「プレミアサポート」を提供開始し、翌95年にはWindowsプラットフォームでの企業システム構築に関する企画・設計コンサルティングを行う「マイクロソフトコンサルティングサービス(MCS)」も展開。徐々に業容を拡大してきた。

 ただし、市場からすると「マイクロソフトはプロダクトの会社」としか見られていないのが実情だ。しかも企業向けのビジネス拡大は、同社にとって宿願の大テーマ。樋口COOはその大テーマに挑むために、この4月、同社に招へいされた。

 マイクロソフトの内部事情に詳しい業界関係者がこう話す。

 「企業向けのビジネスは顧客満足度をいかに向上させるかが生命線。営業の売り上げ拡大にも大きく影響するだけに、今回のサービス事業体制の強化がどれだけの効果を上げるか、注目される。とくに樋口氏は来年度、社長兼CEOに昇格するともみられているだけに、平井氏や平野氏ともども次期経営体制へシフトしていくための“登竜門”になるのではないか」

 今回のエンタープライズサービス事業体制の強化は、どうやら次期経営体制へ向けた動きとも密接に絡んでいるようだ。

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