ソフトバンクモバイルの法人契約は業界平均の4倍?

ソフトバンクの孫正義社長は、2008年度第1四半期決算の説明で携帯電話の法人契約数を明らかにした。

» 2007年08月08日 22時18分 公開
[國谷武史,ITmedia]

 ソフトバンクは8月8日、2008年度第1四半期(1Q)の連結業績について説明を行った。06年4月のボーダフォン(現ソフトバンクモバイル)買収効果により増収となった。また孫社長は、法人向け通信サービスについてもコメントした。

孫正義社長

 グループ全体の売上高は、前年同期比34.2%増の6630億8400万円。このうち通信3社の売上高は、ソフトバンクモバイルが同68.5%増の3916億6800万円(前年同期は5、6月業績のみ計上)、ソフトバンクテレコムが同2%増の904億8600万円、ソフトバンクBBが同3.8%増の657億4700万円となる。

 特に業績へ大きな影響を与える加入者件数は、電気通信事業者協会(TCA)の調査で5、6月に純増数のトップに躍り出た。成長の要因について、孫社長は料金、コンテンツ、端末、ネットワークの4つがあると説明した。

躍進の原動力となったはホワイトプラン。他社への通話や定額時間帯外の通話料が割引になる「Wホワイト」も好調だという

 料金面では1月に導入した「ホワイトプラン」が加入者拡大に好影響を与えている。8月7日時点でホワイトプラン契約件数は約690万件で同社加入者全体の約4割を占め、「直近の契約者の98、99%がホワイトプランを選んでいる」(孫社長)いう。

 ネットワーク面では、8月1日までに第3世代サービスの基地局数をボーダフォン買収当時の2倍に当たる約4万6000局とした。端末面ではカラーバリエーションの強化を中心にNTTドコモ、KDDIを上回る端末ラインアップを展開した。コンテンツ面ではYahoo!の携帯電話ポータルの導入がユーザーのインターネットの利便性を高めた。

 この結果、同社が外部機関から得た同社ユーザーに対するブランドイメージの調査結果では、今年1月以降に「良くなっている」との回答が「悪くなっている」を上回るという。解約率も2%近い数値となっていたボーダフォン時代から、今1Qでは1.07%までに低下した。

法人市場はテレコムとモバイルのシナジー

 孫社長は法人サービスの展開について、「ソフトバンクテレコム(旧日本テレコム)買収は当初は後悔したが、今では2つの点で買収して良かったと思っている」とコメントした。

 固定通信ビジネスが全体的に低迷する中で、ソフトバンクテレコムは固定回線を同社に集約する「おとくライン」の法人向けサービスが好調に推移。おとくライン全体では前年同期比36万2000回線増の125万7000回線となり、法人契約が63%を占める。孫社長によれば、買収当初の法人の売り上げ比率は73%だったものの、現在では85%を占めるまでに成長した。

 「良い点の1つは、企業向けサービスの訴求がようやく実ってきて収穫期に入り始めていることだ」と孫社長は述べた。

 もう1つのメリットは、数多くの企業顧客を抱えるソフトバンクの事業基盤を生かしたモバイル事業との連携だという。「テレコムの営業部隊がモバイルも含めた提案を精力的に行っている。事業の効率性もだいぶ良くなってきた」(孫社長)。

孫社長が「重視している」というプリペイドを除いた契約純増数。4〜6月のプリペイドを含む純増数は53万800件で、2Qスタートの7月も純増数1位となった。

 また、ホワイトプランの定額通話を内線通話の代替として検討する中小企業が多いという。個人名義の端末を仕事に使うケースもあるため、「法人ユーザーの実態は分からない」(孫社長)というが、法人営業の現場ではシンプルな料金体系が企業の通信コスト意識にプラスの作用をもたらしているようだ。

 孫社長によれば、第1四半期の新規の法人契約件数は前年同期の7万件に対して今期は22万件だったという。携帯電話市場全体で法人契約の占める割合は約9〜10%になるとみられており、NTTドコモやKDDIも法人契約の拡大に注力している中で、ソフトバンクモバイルの1Qだけをみても1年で3倍以上と驚異的な伸びをとなった。

 今後は通信3社のサービスをIPベースの統合ネットワークに集約し、固定と無線を連携させるサービスへシフトさせていくとしている。

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