満足する検索結果は3クリックで――携帯検索の米MCNが日本進出

携帯検索サービスの米MCNは、日本法人を設立するとともに本社機能を日本に移すと発表した。アジア市場で高まるモバイル検索ニーズに対応する。

» 2007年10月10日 17時24分 公開
[國谷武史,ITmedia]

 米Mobile Content Networks(MCN)は10月10日、10月1日付けで日本法人「エム・シー・エヌ」を設立したと発表した。同時に本社機能を日本へ移し、グローバルでのモバイル検索ソリューション事業を行っていくと発表した。

 MCNは、エンタープライズサーチ技術の開発を手がけていた現社長兼CEOのマーク・ブックマン氏、営業担当副社長のキモ・パッソ氏らが2005年に米カリフォルニア州で設立。エンタープライズサーチ技術をモバイル検索分野に応用した独自の「Federated Search Management Platform(FSMP)」を利用し、ユーザーの求める内容へ検索結果をリアルタイムに最適化するサービスを通信事業者やコンテンツプロバイダーなどに提供している。

マーク・ブックマン社長

 事業説明を行ったブックマン氏は、「モバイル検索は世界でニーズが高まっているが、多くの検索サービスがPCのインターネット検索技術をベースとしており、ユーザーが満足する結果を得られるまでに十数クリックを要するという課題がある。だが、モバイルユーザーは数クリック以内に結果が得られなければ検索を止めてしまう。われわれは検索結果を最適化し、事業者とユーザーがともに満足するソリューションを提供できるだろう」と話した。

 FSMPは、ユーザーから寄せられた検索クエリを「クエリブローカー」と呼ばれる独自システムで処理する。クエリブローカーは、コンテンツプロバイダーのデータベースとも接続され、XML化されているメタデータを参照する。参照結果に検索ランキングなどの情報も加味して処理を行い、ユーザーの求める結果に最適化してフィードバックする仕組みとなっている。

メタデータからの検索のほか、検索キーワードランキングなどの要素も加味して的確な結果を導くという

 これまで、FSMPは日本と米国、フィンランド、タイの携帯電話事業やコンテンツプロバイダー、携帯電話メーカーに採用された。国内では三菱電機製のNTTドコモ向け端末D903iおよびD904iに搭載されているiアプリ「FM Radio Music Serch」に採用され、ユーザーは放送中の楽曲に関連する検索を行った場合に、FSMPが着うたや着メロ、CD、DVDの情報を処理し、的確な結果を提供する。

 ブックマン氏によれば、ユーザーは検索結果が複数のページに及ぶ場合に、2ページ目以降も参照するのは全体の15%程度とのこと。FSMPのクエリブローカーを利用することで、ユーザーは満足度を高い検索結果を得られるという。これにより、コンテンツプロバイダーでは有料コンテンツの利用促進につながり、通信事業者にとっても通信トラフィックの増加につながるなど、精度の高い検索サービスがバリューチェーンを創造すると、ブックマン氏は説明する。

 日本への本社機能移転について、ブックマン氏は「日本はすでにモバイル検索ビジネスが成立しており、ますますの利用が見込まれる。さらには中国やインドでも利用拡大が始まっており、5年後には日本を上回るだろう。モバイル検索がアジアを中心に広がり、日本がグローバルのオペレーションに最もふさわしい場所だと判断した」と述べた。

 すでに、5月には同社最大のデータセンターを東京都内で開設しており、今後は欧米向けのビジネスも日本をメインに活動していくという。

 エム・シー・エヌ取締役に就任したモバイルマーケティングソリューション協議会の高藤丈也理事長は、日本のモバイル検索が抱える問題点を説明した。

高藤丈也氏

 「日本のモバイルインターネットは原則として(通信事業者ごとの)クローズドな環境で利用されており、優良なコンテンツがユーザーの目に触れるには公式メニューへの登録などが求められる。一方で、PCインターネット技術をベースとしたモバイル検索は検索精度に課題を残している。モバイルインターネットは今後、PCと同じようにオープン化が進むと思われ、MCNの技術は精度とレスポンス、表示方法への要求が厳しいモバイル検索の課題を解決する1つに手段になると期待している」

日本のモバイル検索が抱える問題点

 エム・シー・エヌでは今後、通信事業事業者や広告代理店、コンテンツポータルなどを提供する事業者向けにサービスを提供し、採用拡大を目指す。さらには一般企業向けサービスも展開し、例えば通信販売のECサイトにおける商品検索など、多彩な検索サービスへの対応を進める計画だとしている。

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