日本の市場ニーズが世界のスマートフォンをデザインする――シンビアンがプライベートイベントを開催(2/2 ページ)

» 2007年11月07日 21時57分 公開
[國谷武史,ITmedia]
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 続いて講演を行った英Symbianマーケティング担当のヨルゲン・ベレンス副社長は、ScreenPlayとFreeWay、SMPの特徴を説明した。

ベレンス副社長

 まずベレンス氏は、インターネット閲覧やマルチメディアアプリケーションの利用といったユーザーのスマートフォンに対する期待と、デバイスのパワーマネジメントの関係について紹介した。「今後のアプリケーションの利用拡大に対応するためには、2001年に比べてバッテリ容量を25%向上させる必要がある。だが、実際には8%程度の向上しか見込めず、このギャップを埋めなければならない」(べレンズ氏)。

2001年を基準とすると、アプリケーション側が求める供給電力量に対するバッテリの供給能力との開きは年々拡大していくという

 こうした課題を含め、3つの新技術はデバイスの効率的な制御と、新しいネットワークサービス、ユーザー体験の向上がテーマとなった。

 ScreenPlayは、WVGAのTrueColorをサポートし、高解像度ビデオやベクターグラフィックス、3Dコンテンツなどのリッチコンテンツを、オーバレイや透過表示できる新しいアーキテクチャとなる。また、ハードウェアのグラフィックアクセラレータにも対応しており、消費電力を抑えながら、ユーザーインタフェースの表現力を格段に向上できるようになるという。

ScreenPlayを使ったデモ

 FreeWayはスーパー3G/LTE(Long Term Evolution)やWiMAX、Wi-Fiなど、IPベースの複数のネットワーク環境をシームレスに切り替えることができる。これにより、例えば喫茶店の無線LAN環境で高画質ビデオを視聴していて、店外へ移動してもFreeWayが自動的にスーパー3GやWiMAXネットワークへ切り替え、ユーザーはネットワークの変更を意識することなく、ビデオ視聴を続けられるイメージだ。

 「携帯電話で安定した品質のVoIPサービスも実現する。しかも、最新版のOSで提供済みであるため、通信事業者やアプリケーションベンダーは特別な開発を行うことなく、自社にとって最適な形でユーザーにサービスを提供できるだろう」(べレンズ氏)

alt FreeWayやSMPによって、モバイルブロードバンド時代にふさわしいアプリケーションやサービスの登場が期待される

 SMPは、モバイルデバイス向けに開発されたマルチコアプロセッサに対応する次世代のパワーマネジメント技術となる。英ARMと共同開発し、「ARM Cortex-A9 MPCore」をサポートする。「アプリケーションに対して、必要なときにパワーを提供し、アイドル状態では抑制する。PCのマルチコアプロセッサと同様に効率的なデバイス管理ができ、バッテリ駆動時間を伸ばすことができる」という。

 また、べレンズ氏は開発者向けサイト「Symbian Developer Library(SDN++)」の日本語版サイトを年内にも開設すると発表した。同サイトではSymabian環境の開発に必要な情報が3万5000ページ以上あり、ドキュメントやデバイスドライバ、APIリファレンスなどが提供されている。

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