モバイルセントレックスが敬遠される理由

「便利そうだけど、導入まではねえ」――NTTソフトウェアは、モバイルセントレックスの導入に関するアンケート調査の結果を公開した。

» 2007年11月15日 16時08分 公開
[ITmedia]

 「工事会社が扱いやすくならなければ、モバイルセントレックスは導入が進まない」――NTTソフトウェアは11月15日、モバイルセントレックス導入にかんする電話設備企業の意識調査結果と、モバイルセントレックス製品「ProgOffice」の新技術について、説明を行った。

 モバイルセントレックスは、IP化された内線電話システムに携帯端末を組み込み、移動時でも通話できる利便性を特徴としている。大規模事業所など一部企業では導入が進んでいるが、NTTソフトによれば中堅・中小企業では普及が遅れているといい、導入が敬遠される理由について電話設備会社などを対象にアンケート調査を実施した。

 同社が受け付けた内線電話設備の新設・更新に関する見積りの傾向から、最近の企業ユーザーは内線電話のIP化や、社員への携帯電話の支給に関心を持つケースが多いという。NTTソフトでは、企業ユーザーにシステムを提案する立場の電話設備会社に注目し、サンテレホンと共同で、ProgOffice製品に対する意識を尋ねた。

 ProgOfficeは、IP-PBXのオープンソースソフトウェア「Asterisk」をベースに開発した中堅企業向けのモバイルセントレックスシステム。最新版では、外来電波の干渉を回避する機能を実装した

ait ProgOfficeで注目するポイント(左)と電波干渉対策の意識

 アンケートでは147件の回答が寄せられ、まず、ProgOfficeへの興味では97%(有効回答113件)が「関心がある」と回答した。またProgOfficeで注目する点について(複数回答)は、「将来性」「電波干渉対策」「無線LAN対応」との回答がそれぞれ3割以上を占めた。これらの結果から、同社では「内線のモバイル化への興味は強いが、安定性や品質に不安を持っているようだ」と分析する。

 モバイルセントレックスは、2.4GHz帯のIEEE802.11b/gを使用するが、同周波数帯を使う電子レンジや固定電話の子機、ほかの無縁LAN網などとの電波干渉が問題になる。

 「例えば近隣のコンビニエンスストアにある電子レンジがフルに使われる昼食時間に干渉する場合がる。このような要因を把握するには、専門家がスペクトラムアナライザを用いて長期間調べる必要があるため、手間とコストが掛かり、取り扱いを敬遠する設備会社が多い」(モバイル&セキュリティ・ソリューション事業グループの生駒勝幸統括部長)

 このような電波干渉に対処するため、最新版のProgOfficeには無線LANアクセスポイントや接続端末ごとの電波状況を可視化する機能と、自律的に通話制御を行う機能が追加された。

アクセスポイントや端末ごとに電波の利用状況が分かり、干渉状況を確認できる。
輻輳状態に近づくと自動的にアクセスポイントを切り替えて安定した通話を確保する。呼の場合は、すべてのアクセスポイントが塞がっていても、NTTドコモのFOMA網から端末を呼び出せる

 電波状況はリアルタイムにグラフ化されるが、過去3カ月間の状況も記録でき、これらのデータを運用改善に生かせるという。また、強度の干渉が起きた場合は無線LANコントローラが端末の接続するアクセスポイントを、干渉の少ないものへ自動で切り替える。これにより、通話品質の向上とメンテナンスコストの削減が可能になるという。最新バージョンは、2008年2月の出荷開始を予定している。

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