氷、コンテナ、液体冷却――エネルギー最適化への果てしない道今年最大の関心事は「電力」「冷却」(1/3 ページ)

データセンターにおけるエネルギーの最適化が叫ばれる中、管理者は日々頭を悩ませている。夜中に氷を作って日中の冷却に用いるなど、各企業のさまざまなアプローチを探る。

» 2007年12月19日 07時00分 公開
[Tom Kaneshige,TechTarget]

このコンテンツは、オンライン・ムック「サーバ祭2007」のコンテンツです。関連する記事はこちらでご覧になれます。


まだまだ低い? “グリーン化”への意識

 リモートのデータセンターは必ずしも“グリーン”であるとは限らない。安価なエネルギーを提供する水力発電所の近くにデータセンターを建設することが、100%環境に優しいというわけではないからだ。

 例えば、大きな河川をせき止めるダムは鮭の遡上を阻む。最近も環境破壊の懸念があるとして、EPA(米国環境保護庁)がスネーク川のダムを撤去する措置を取ったばかりだ。結局、安価なエネルギーを利用することが、エネルギーの効率化やグリーン化につながるわけではないのだ。

 一方、ほとんどのCIOはグリーン優先の意思決定は行わない。CIOの判断基準はグリーンバック(ドル紙幣)だ。フォレスタ・リサーチが北米および欧州のIT運用責任者124人を対象に実施した最近の調査でも、回答者の78%は、ITシステムおよびデバイスの評価、選択にあたり、グリーン化への取り組みを考慮していないことが分かった。もちろんCIOの目標は、事業の利益率を高めコストを削減し、会社に利益をもたらすことだ。グリーン技術の多くは十分なROIが期待できない。「純粋にエネルギー効率だけを考えたデータセンターを建設することはできない。なぜなら、われわれは営利を追求する企業だからだ」とヴィージャス・エンタープライズCIOのモティ・ヴィアス氏は語る。

 1つの事例を紹介しよう。サンフランシスコ・ベイエリアの企業で働くファシリティマネジャーは最近、CIOの指示でソーラーパネルの導入を検討した。ところが設置する屋根の補強工事に莫大なコストがかかることが判明し、そのアイデアは断念せざるを得なかった。エネルギーコストの低下分で補強工事費をペイするまで、何年かかるか分からなかったからだ。同社では今後新しく建設するビルにソーラーパネルを設置することにした。

       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ