Q51 国または民間企業が実施している情報処理の資格を持っていますか?
IPAの資格では基本情報技術者は持ってます。そのほかはディジタル技術検定やCG検定などです。こういう資格や検定に合格すると、うちの学校では低学年のうちだと単位がもらえるんです。それ以外に役に立ったことはありませんが、基本情報くらいなら基礎知識の勉強に役立つとは思います。
Q52 子どもに(あるいは生まれたら)プログラムを教えますか?
絶対教えません(笑)。小さいころは全力で泥まみれになって野山を駆け回った方が、大きくなってセンスのよいものづくりができると思ってます。
まずはブロックや粘土、図画工作が大好きになるのがプログラムを教える第1条件です。第2条件として、プログラムの前に電気・電子工作に触れておく方がよいと思います。その条件を満たした上で「教えてほしい」と自分で言ってきたら、愛を注いで教えるでしょう。目安としては小学校高学年から中学校くらいに始めるのがベストだと思います。
Q53 大物ハッカーといえば?
未踏でお世話になった竹内郁雄先生、ユーザーインタフェース系では五十嵐健夫先生、検索系では平林幹雄さん、若手では登大遊さんや福野泰介さん、結城浩さんやサイボウズラボの秋元さん、奥さん、竹迫さん……凄い人大杉なので絞りきれないです。ごめんなさい。
いやはや、何ともすごい人が現われたものである。未踏ユースの仲間うちでは、井上君の発表の次には自分の発表をしたくないといわれるようになった。エクストラリンクではないが、井上君の圧倒的なプレゼンによって辺りの草木がなぎ倒されて、同じ道はもう歩けないと思わせてしまう迫力があるのだ。
井上君の成し遂げたことを一言で言うと、Webにおいて自分以外の誰かの存在を感じる、新しいコミュニケーションシステムAntwaveの創造である。しかし、Antwaveを構成する技術の多様さと奥の深さは、一言ではとても表せない、驚愕に値するものである。
(中略)
井上君は、ソフトウェア開発の範ちゅうを超えたスーパークリエータである。彼の歩んだような道(歩いた道自体は草木がなぎ倒されているかも?)をメタ・エクストラリンクとして、次々と別の人にも歩んでほしいものである。
Q54 国内外を問わず、尊敬しているプログラマーは?
素直に尊敬してる人が多すぎるので、失礼にならないように、ITの世界で尊敬してる人はあえて言わないことにしています。クリエイターという分野に広げれば新海誠さん。大ファンというか、同じものづくりをしている方として心から尊敬しています。
Q55 自分より年下で注目しているプログラマーは?
自分もまだ22歳なので、それほど年下の方がいるわけではないですが、未踏ユースの後輩には、未来を変える力を持った凄い方が本当にたくさんいいます。「VIVER」の古橋貞之君や「物理レンダラ」の上野康平君、「三度の飯よりAS」の新藤愛大君、同じ高専生では「netPlant」の大澤昇平君などです。
将来が楽しみなのは茨城高専の湯浅優香さん(団長)や、部活の後輩たちです。そういえば、みんなプログラマーなのにグラフィックデザインのセンスも秀逸です。コーディングセンスとデザインセンスには、正の相関関係があると思います。
Q56 最近一番感銘を受けたコード/サービスは?
ミーハー(死後)と思われそうですが「mixi」です。あれだけの規模のものを、落とすことなくスケールアウトしてる技術は純粋に凄いと思います。ネットコミュニケーション系の研究をやっているので、うまくシナジーを生めば、きっと世の中がどんどん面白くなるとも感じています。xfyやSkype、Winnyにも強烈な影響を受けました。世の中に受け入れられるサービスは裏側もしっかりしていると思います。
Q57 「もう時代遅れになってしまったなぁ」と思う技術があれば
セカンドライフです。発想は好きですが、実装アイデアが少し古典的だと思います。「仮想世界=3D表現」というのは安直な技術屋思考です。そこに可能性を投じたという点では評価していますが。
世界というのは、目には見えない多くの要素で構成されているはずですので、それをうまく演出できれば、どんな形であれ実世界に近い仮想現実感を演出できると思います。仮想現実感の認識という意味ではニコニコ動画は筋がいいと思います。
Q58 懐かしい、もしくは時代を感じさせるソフトウェアは何ですか?
分割圧縮ソフトです。当時は夜11時に起きて(テレホタイムとか懐かしいですね)、徹夜して3Mバイトくらいのゲームを何時間もかけてダウンロードし、1.44Mバイトのフロッピーに分割圧縮して保存してたんですよね。DOS版LHAの「oooooo」とか涙が出るくらい懐かしいです。あれ、そういえば自分の使ってるPCには、もうFDD付いてないですね(笑)
Q59 あなたのまわりで電波を送受信しているプログラマーがいればそのエピソードを
後輩たちの会話です。
A:「あの月の裏側にはもう1つの地球があって」
B:「……はい?」
A:「そこにはもう1人のお前が居て、向こうのお前は、こっちのお前よりもプログラムが書けて、アルゴリズムに長けてて、少しだけ面白いゲームが作れるんだよ」
B:「……はぁ。それじゃあ、その星にいるもう一人のA先輩は、先輩よりも少し面白いゲームを作れるんですか?」
A:「いや、奴は俺には敵わないと思う」
C:「なるほど。だが弾幕では俺に敵わない」
こんな会話を1時間くらい真顔で続けた後に、何かに取りつかれたように、すごいプログラムを組み始めるんです。まったくわけが分かりませんが、こういう若者が多いのが高専の特徴だったりします(笑)
Q60 あなたの遭遇したマーフィーの法則を教えてください
わたしが学生時代に参加していた全国高等専門学校プログラミングコンテストでの出来事です。
極限の開発状態の時に限って、どんなに気をつけていてもメガネがトラブルに見舞われます。プロコンのたびに毎年メガネを買い替えなきゃいけなくて……。マーフィーの法則というか、もはやジンクスの域です。
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