2008年は米Oracleが買収したソフトウェア企業の製品を統合して構築するアプリケーションの新製品「Oracle Fusion Applications」が登場する。アプリケーションの最新戦略について聞いた。
2008年は米Oracleが買収したソフトウェア企業の製品を統合して構築するアプリケーションの新製品「Oracle Fusion Applications」が登場する。アプリケーションの最新戦略について、米Oracleでアプリケーション開発上級副社長を務めるイェスパー・アンダーセン氏に話を聞いた。
ITmedia 今年はOracle Fusion Applicationsが登場するといわれるが、予定通りか。OracleはFusionと並行して、J.D.Edwards、PeopleSoft、Siebelといった買収企業のソフトウェアサポートも継続する「Applications Unlimited」も打ち出しており、ユーザーには迷いもあるともいわれている。
アンダーセン 08年からの出荷開始の予定は変わっていない。Fusionなのか、Unlimitedによる既存ソフトの利用なのか、迷っているのは日本のユーザーだけでなく、世界でも共通だ。実際にFusionを採用すかどうかは製品を見ないと判断できないだろう。まずはOracleがFusionを推奨して、初期のユーザー企業が現れ、口コミ効果によって採用曲線が急激に上向くと予想している。
Fusionにも次々と新たなバージョンが出てくるだろう。大半の企業というわけではなく、当初は、高度なシステム環境を運用している企業が利用すると考えている。2、3番目のバージョンで広まるのではないか。われわれはユーザーに対して「迷ってください」「議論を戦わせてください」というスタンスで構えている。ユーザー会であるOAUG(Oracle Applications Users Group)でも、話し合いのテーマになっている。
ITmedia 現在、Oracleがアプリケーション分野で力を入れていることは何か?
アンダーセン 具体的にいえば、アプリケーション統合アーキテクチャ(AIA)への取り組みだ。AIAはOracle Applicationsに含まれる複数のアプリケーションを統合し、相互連携させるための基盤ソフトだ。
AIAの中で特に重要なのがPIP「プロセス統合パック」だ。PIPは、データ転送やトランザクション管理などの機能を盛り込んだパッケージとして提供している。
例えば、日立コンサルティングがPIPを利用して、商談や見積もりシステムを構築するケースについて試算した。PIPを使った場合、コストの総額は704万円、工数は10.4日で済む見込みだ。これをもし、SOAによるカスタム開発で実施したら、工数は520人日、コストは5200万円は掛かる。PIPにより、工数は50分の1、コストは15%程度で構築できる計算になる。
これまで、Siebel CRM On Demand Integration Pack for Oracle E-Business Suiteなど10あまりのPIPを提供している。
Oracleは研究開発費に20億USドルを費やしている。継続的に革新をもたらすために必要であり、AIAへの取り組みもその一環だ。
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