広告メディアの主戦場としてソニーが商機を見いだそうとしているのが小売業界だ。ポスターやポップ、垂れ幕などを通じた広告作りが多く、インターネットやメディアなどを通じて商品をアピールするノウハウを持たない店舗が多く残っているからだ。
一方で、それがすぐに利益に結びつくわけではないこともソニーは理解している。現段階で広告を配信できるデジタルサイネージのサービスを導入したのはOlympicの22店舗のみ。広告メディアとして利益を立てるには、デジタルサイネージの設置台数を増やし、「規模感を出す必要がある」(齋藤氏)。
小売り最大手の米Wal-Mart Storesなどは、数千台規模のデジタルサイネージを売り場に導入している。既に広告を配信するメディアとしての規模を誇っていることが、海外の企業が先陣を切ってデジタルサイネージを取り入れる背景にあるのかもしれない。
だが、国内でのデジタルサイネージ市場は立ち上がったばかり。「単に広告を流しても消費者は見てくれない。天気予報やニュースなど生活に役立つ情報を取り入れて、まずは消費者の視認性を高めたい」(齋藤氏)。広告メディアとしての価値を高めるために、地道な施策を積み重ねていくかまえだ。
現在、見た人の属性や視聴時間などのデータを定量的に分析し、広く販売促進に役立てるようなシステムの開発も進めている。「リアルタイムにコンテンツを配信できるシステムも今年度中に提供できるようにする」(齋藤氏)見込みという。
店舗の商品を売るためにデジタルサイネージを販売促進のツールと見立てる小売業界と、新たな広告メディアとして可能性を見いだす大手メーカー。「2つの事業者の思惑は現段階では違うが、共存できればいい」と坂尾氏が言うとおり、お互いがデジタルサイネージを使って「WIN-WIN」の関係を構築できるようになれば、デジタルサイネージはメーカーと小売業界を巻き込んで、各業界の新たな主役に躍り出る可能性もある。
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