Webアプリの進化に追随するGoogle Chrome：興味深い技術的側面（6/6 ページ）

[Jeff Cogswell，eWEEK]

Gearsもビルトイン

　Google Gearsは、Webサイトにプライベートなストレージスペースを提供するブラウザ用プラグインである。これまでオンラインワードプロセッサの最大の問題は、作成した文書がサーバ側に格納されることだった。ラップトップを携帯して飛行機に搭乗しても、インターネットが使えるようになるまで文書にはアクセスできない。

　Google Gearsは、Webアプリケーションでローカルのストレージを利用できるようにすることで、この問題を解決した。文書をローカルのハードディスクにセーブすることは、これまでのブラウザではできなかった（ブラウザのオリジナルの開発者たちは、そのような使い方を想定していなかったからだ）。

　ローカルストレージに加え、GearsはWeb開発をアシストする機能をいくつか提供している。例えば、ブラウザがインターネットに接続していなくてもアイテム（画像、そのほか）を表示できるローカルキャッシングや非同期JavaScriptオペレーションなどだ。

　Gearsは標準的なブラウザ（FirefoxやIEなど）にアドインとして用意されている。Google Docsなどのサイトでオフライン機能を利用する場合、エンドユーザーはGearsをPCにインストールしなければならない。しかし、ChromeはGearsをはじめからビルトインしているのだ。

　最初、それは悪いアイデアに思えた。特定のプラグインを必要としないユーザーも中にはいるだろう（わたしはFlashのインストールを拒否するユーザーを知っている）。またローカルサイトにセーブするユーザーは、非常に用心深いユーザーに限られるのではないか。しかし、ここで少し見方を変えてみよう。ChromeはWebブラウザの定義を変更し、われわれがすでにブラウザを使って実現している何かに転換しようとしているのだ。

　すなわちインターネットベースのアプリケーションを実行できる自己完結型のプラットフォームだ。前述したように、ブラウザのオリジナルの設計者は、単一のページにさまざまな機能が盛り込まれた高度にインタラクティブなAJAXベースのWeb 2.0サイトを人々が利用するようになるなど、まったく想像もしなかった。

　だが、Webのユーザーは、開発者がWebを従来と違う新しい方向へ発展させることを許した。しかし、そうした新しい方向へ進むためには、クライアントソフトウェアもまた、静的なページやシンプルなフォームを表示するだけの古いブラウザから脱皮する必要性があった。もちろんダイハードなユーザーは、そうした方向を拒み、古いブラウザに固執し、Gearsのインストールを拒否し、JavaScriptを無効にするだろう。それは彼らの自由だ。ただし、その場合、最新のサイトを利用することができなくても、彼らは自分たちの選択に不満を持ってはならない。

で、プラグインは？

　われわれのメディア業界は、いつも大急ぎで記事を出すことが求められる。そのため今回は、Chromeのプラグインを徹底的に分析する時間がなかった。Googleはhttp://www.chromeplugins.org（.comではなく、.orgである）に、ChromePluginsというサイトを開設している。内容的にはまだそれほど充実してはいないが、Googleはこのサイトでさまざまな情報を提供するとともに、おそらくプラグインをダウンロードできるようにするはずだ。

　プラグイン開発については、わたしもまだ十分な情報を持っていない。しかし、重要なトピックであることは確かなので、今後精力的に取材し、次の記事でカバーしたいと考えている。

最後に

　わたしは強い感銘を受けた。非常に強い感銘を受けた。現在のWebアプリケーション開発は、すでにブラウザ技術を完全に追い越している。いま何らかの手を打たなければならないことを、Googleは認識していたのだ。市場競争に負けないためにも、IEやFirefoxはGoogleに追随せざるを得ないだろう。そうなれば、この1、2年のうちに、われわれは新しいブラウザ技術の恩恵にあずかり、仕事に役立つハイレベルなWebアプリケーションのパワーを手にすることができるだろう。もはやインターネット回線が用意されていない機内でいら立つことも、劣悪なFlashスクリプトでブラウザがダウンすることもなくなるはずだ。

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