三井ホームがPOPサーバの強化とメールアーカイブの安定運用を両立メール環境刷新(1/2 ページ)

メールアカウント数の急増とメール流量の増大で、POPサーバの障害やアーカイブのキャパシティ超過に苦慮していた三井ホームは、老朽化したメールシステムを全面刷新した。

» 2009年02月24日 06時00分 公開
[富永康信(ロビンソン),ITmedia]

導入前の課題

高負荷時にPOPサーバの応答が停止するという障害が多発。

メールのアーカイブ量が増大し検索もままならない事態に。

自社データセンターの業務外時間と法定点検が安定運用の障害に。


導入後の効果

最新メールサーバの採用で高負荷時でも安定性が確保。

メールアーカイブで容易にメールが保存でき完全性と検索性も向上。

無停止の外部データセンターにメールサーバを設置することで安定稼働を実現。


グループ全社にメールサービスを拡大

 三井ホームは、ツーバイフォー(2×4)工法(木造枠組壁構法)がオープン化された1974年に設立され、日本における2×4住宅の普及と技術の向上に貢献した先駆的企業として知られる。グループ企業12社とハウジングパートナー10社で構成するグループの総合力を背景に、顧客のこだわりをカスタムメイドで実現する高級グレードの注文住宅で差別化を図っている。

 同社は、1994年に決裁や情報伝達手段としてLotus Notesを導入。1999年には、インターネットメールの利用環境を整備し2400ユーザーで利用を開始した。その後、2002年にはNotesを廃止し、商用Sendmailを導入。併せて、インターネットVPN を整備してグループ全社にメールサービスを拡大していった。

 2004年からは、情報漏洩対策に向けたメールアーカイブ、セキュリティゲートウェイ、スパム対策システムなどを次々と導入し、2007 年時点でのメールユーザー数は7000を数えるまでになっていた。

住宅メーカーならではのメール問題

「もはやメールシステムは止められないインフラ」と語る、三井ホーム 経営企画統括本部 篠山達夫システムグループ長

 従来のメールシステムは、自社運用のデータセンター(iDC)にPOPサーバ、SMTPサーバ、アーカイブサーバを配置する一方、外部のiDC にはメールゲートウェイ、携帯Webメール用サーバを備える構成をとっていた。

 しかし、当時のシステムには3つの問題点があった。その1つは、高負荷時にPOPサーバの応答が停止するという障害である。住宅メーカーのため、営業や設計、工事の各担当者が日常的に大量の資料をメールに添付し、同時に多数の宛先にも送信していた。同社の調査によると、平日1日平均の送信数は約6万通(24Gバイト)、受信数は約3万5000通(13Gバイト)に達し、さらにスパムのブロック数も約80万通にも及んでいた。このような過密状態で送信キューが増大したことにより、パフォーマンスの低下やシステム停止が頻繁に発生していたという。

 問題の2つ目は、アーカイブ取得量の増大で運用負荷が高まりつつあったこと。個人情報保護法の施行でメールの保存が必要となると、月平均のアーカイブ量がアーカイブサーバとテープのメディアサイズを超過し、圧縮処理が追いつかない事態になっていた。また従来のテープアーカイブからメッセージログを抽出するコマンドベースの検索方法では、1カ月分のメールの中から検索するにも半日を費やすほどだった。

止められないメールシステムは止まらない環境へ

「時間をかけずにメール内容の把握を可能にする必要があった」と語る、経営企画統括本部システムグループ 高橋敏介チーフマネジャー

 「当時の単純なシステムでは、アーカイブの検索機能が使えなかったことが主な原因でした。時間をかけずにメールの内容が把握できないと、アーカイブ本来の目的を失ってしまうことになります」と語るのは、同社の経営企画統括本部でシステムグループのチーフマネジャーを務める高橋敏介氏。アーカイブの目的は達していたが、探すための仕組みを早急に検討しなければならなかったと振り返る。

 そして3つ目は、自社iDC 環境の問題である。業務時間外に障害が発生した場合、対応が遅れるなどの問題が想定されるほか、年1回の法定点検で全館停電する日があり、休日が異なるグループ会社間でメンテナンスのスケジュール調整をとることが困難になっていた。

 もはやメールシステムは止められないインフラとなった以上、24時間365日止まらない外部のiDCに設置するべき、という意見が社内で大勢を占めるようになっていた。

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