CitrixがMSと提携――仮想化市場でのシェア拡大を狙うVMwareに挑戦

Citrix SystemsはCitrix XenServerとMicrosoftのHyper-Vを連携した仮想化製品「Citrix Essentials」をリリースする。仮想化分野をリードするVMwareから市場シェアを奪うのが狙いだ。今回の提携は、20年間に及ぶ両社の関係に新たな次元を付け加えるものとなる。

» 2009年02月24日 17時58分 公開
[Nicholas Kolakowski,eWEEK]
eWEEK

 Citrix Systemsは、「Citrix Essentials」という新しい仮想化製品をリリースする予定だ。これは同社のXenServerハイパーバイザーとMicrosoftのHyper-Vを連携したもので、VMwareへの主要チャレンジャーとしての同社の立場を強化するのが狙いだ。

 Citrixによると、Citrix Essentialsは両社のハイパーバイザー(x86システム上で仮想化を実現するのに不可欠なソフトウェア)の管理性、拡張性、柔軟性を高めるために開発したという。同社は2月23日にCitrix Essentialsを発表した。

 さらにCitrixは、XenServerの無償ライセンスを提供するという方針も明らかにした。XenServerでは「Express」「Enterprise」「Platinum」の各エディションが用意されている。

 Citrixのサイモン・クロスビーCTO(最高技術責任者)はプレゼンテーションの中で、「Enterpriseエディションは無料になる。完全な仮想化の標準プラットフォームが無料になるのだ。無償でダウンロード、配備でき、リソースをプールするのも無償だ。われわれはXenServerから収益を得るのではなく、高度な仮想化管理から収益を得るつもりだ」と述べている。

 Citrixでは、厳しい景気状況の中、XenServerの無償ライセンスは企業ユーザーに経済的メリットを与えるとしている。仮想化に伴う初期コストを大幅に削減できるからだ。「無償の仮想化は、企業にとってクラウドコンピューティング分野への進出をより現実的かつ安価な選択肢にするだろう」とクロスビー氏は強調する。

 XenServerは今後、Microsoft System Centerでもサポートされることになるが、Citrixでは同製品をオープンソース化する予定はないとしている。

 XenServerを軸にMicrosoftと提携するというのは、「Project Encore」のコードネームでCitrixが進めている戦略に沿った動きであると同時に、アプリケーション管理の分野における両社の20年間にわたる関係をさらに拡大するものでもある。両社によると、Project Encoreの下、両社の提携はアプリケーションとデスクトップからサーバへと拡張され、共同マーケティング戦略を中心として「大きなエンタープライズ価値を付加する」ものになるという。

 「Project Encoreは、XenSourceを買収してすぐに開始された。Hyper-V上に構築するコア機能を見つけ出すのがプロジェクトの目的だ」とクロスビー氏は説明する。

 XenServerとMicrosoftのHyper-V用のCitrix Essentialsは「高度な仮想化管理」製品であるため、有償となる。価格は1サーバに付き1500〜5000ドル。Citrix Essentialsは、自動ラボ/ライフサイクル管理機能や単一のマスターイメージからの動的プロビジョニング機能を備える。エンタープライズストレージの構成と運用を簡素化する「StorageLink」技術、共通のタスクを自動化するワークフローオーケストレーション機能、先進的な高可用性/ワークロードバランシング技術なども含まれる。

 Citrixは2007年10月にXenSourceを買収して以来、VMwareなどの企業への対抗を目指して仮想化市場に積極的に進出している。CitrixとIntelは1月21日、IntelのvProをCitrixの仮想化技術(XenDesktopを含む)と組み合わせることを柱とした共同開発提携を結んだ。

 さらにCitrixは2月4日、配信方式とローカルホスト方式の仮想デスクトップに対応した仮想化ソフトウェア「XenDesktop 3」をリリースした。

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