ルノーF1チームのグリーンIT作戦画面オフから徹底したい(2/2 ページ)

» 2009年02月27日 08時00分 公開
[國谷武史,ITmedia]
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“冷やし過ぎ”をやめた

 「われわれがF1チームだからといって、ほかの企業とは異なる特別な設備を保有しているわけではない」(ハックランド氏)

 データセンターでは、NetAppのFAS6080などを利用したクラスタ構成をとっており、バックアップ環境にはNetApp NearStroreやSymantecのVeritas NetBackupを使用している。OS環境もWindows、Linux、Mac、UNIXと、一般的な企業で数多くみられる混在環境となっている。

 データセンターで処理するデータは、電子メールや日常業務のドキュメントからレースカー開発に関するCADなどの設計データ、レースおよびテスト走行時の映像や画像など幅広い。ストレージ容量は最大500Tバイトという規模だ。

データセンターのシステム環境

 同チームの省電力化に向けた取り組みは、無駄な電力の使用を徹底して削減するというものである。特に英国のデータセンターの一部は学術研究上の調査地域に指定され、当初から周辺環境に配慮することが求められた。データセンターは地下に設計したことで外気環境よりも室内の温度を下げられたほか、すべての作業エリアで自然光を多用するようにしたことで照明コストの低下につながったという。また、データセンターの廃熱を利用した空調システムも採用した。

 データセンター本体では、APC InfrastruXureアーキテクチャの活用で徹底した電源管理を行って、強制空冷の運用を取りやめた。この結果、対策前に比べてエネルギー効率が25%改善した。ストレージ管理でも、NetAppやSymanetc製品の利用で余剰サーバの廃棄やストレージの重複データの排除などを推進し、マルチベンダー環境ながらも効率的な運用を実現したという。

 「以前は毎週の会議のために英国とフランスのスタッフが自家用ジェットで移動していたが、現在はテレビ会議を導入して移動に伴うコストもなくなった」(ハックランド氏)

 こうした同チームのグリーンIT化の取り組みはまだ途上にある一方、先に挙げた各種規則の改定で当面は開発コストの増加も見込まれる。特にレースカーでは空気抵抗を徹底して減らすために、スーパーコンピューターを利用した風洞シミュレーションが年間で何万時間も実施される。開発におけるスーパーコンピューターへの依存が高まれば、電力コストも同時に上昇してしまう恐れがある。

 ハックランド氏は、「まだクライアントPCに管理が十分ではなく、まずは夜間でも付けっぱなしになっているモニターの電源を消すところから徹底したい。削減の余地がだいぶ残っている」と話す。さらにデータセンターでも、サーバ仮想化への着手や重複データのさらなる削減による効率化を推進していく計画であるという。

 「予算が削減される中で、レースカーの開発担当者の業務効率を高めるアプリケーション環境を提供することがわれわれの使命だ。そのためにも無駄なコストを徹底して排除する」(ハックランド氏)

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