25年間にわたるPC革命を振り返るPC WEEK/eWEEKの昔話(2/2 ページ)

» 2009年03月03日 06時00分 公開
[John Pallatto,eWEEK]
eWEEK
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PC WEEK編集部にもPC革命の恩恵

 1984年末には、PC WEEKの特集記事部門は、日々の業務用としてラボの外に配備した3Com LANの利用を開始した。これにより、編集スタッフは電子メールや記事ファイルを互いに送受信できるようになった。冗談めいた電子メールを互いにやり取りするのに多くの時間を費やしたりもした。今にして思えば、われわれはブログに近いことをやっていたのだった。また、ネットワーク接続されたドットインパクトプリンタにアクセスできるようになったことも驚嘆すべき出来事だった。

 しかしPC WEEKで働いて最も嬉しかったのは、われわれが読者から支持されていると実感できたことだった。われわれの読者は、PCハードウェアを開発、購入あるいは利用する人々であった。われわれが最新のPCハードウェアやソフトウェアに関する記事を書くと、すぐさま読者から、それらの製品を実際に使った感想が返ってくるのだった。

 PC WEEKの発刊当初は、のんびりした日々でもあった。1984年春には、マサチューセッツ州ニーダムハイツにあった編集部のオフィスの駐車場でスタッフのフリスビー大会が催されたりもした。夕方近くに皆で集まってビールを飲むこともしばしばだった。しかしPC WEEKが軌道に乗り始めると、フリスビー大会は開かれなくなり、編集部員たちは記事の締め切りに追われてカクテルアワーどころではなくなった。

 カクテルアワーに代わる行事となったのが、毎週木曜日の夜に記者と編集デスクが印刷業者にPC WEEKの原稿を渡すための追い込み作業をしている中で開かれるビールとピザのパーティーだ。しかしこれもやがて、木曜日夜のピザパーティと形を変えた。原稿を印刷の締め切り時間に間に合わせるためには、ビールが妨げになっていることが分かったからだ。

 1984年秋までにはPC WEEKの成功が明白になった。広告の売り上げはどんどん増加し、ページ数も増え続けた。広告の増加は誌面の拡大を意味し、PC WEEKの成長を追いかけるように記者や編集スタッフ、評価担当者、社外ライターを増やさなければならなかった。

 企業でPC製品の購入に携わっていた人は誰もが、PC WEEKの無償購読を申し込んだ。PC WEEKは店頭では販売されなかった。無償購読には“資格”が必要だった。1980年代には、購読申請リストはいつも長い順番待ちの状態だった。

 1985年初めごろには、PC WEEKは出版界で脚光を浴びる存在となっていた。ハードウェアメーカー、ソフトウェアデベロッパー、そして各種のPC周辺機器やアドオンデバイスのメーカー各社がわれわれの注目を引きたいと願った。その当時は、PC WEEKに数段の記事が掲載されるだけで、その製品に弾みがついて企業市場でヒットする可能性があったからだ。

 1985年には、われわれは単に技術、あるいは単に業界に関することだけを報道しているのではないことが明らかになった。われわれが報道していたのは社会現象だった。1985年にウォール街で最大のあこがれの的だったステータスシンボルは新しいBMWではない。第2世代のIntel 80286プロセッサと最大16Mバイトという“大容量”メモリを搭載したIBM PC ATの電源スイッチのロックを解除するキーだったのだ。そのキーは、IBMがこれまでに考え出した中で最も優れたマーケティングギミックの1つだった。それは、最先端の計算機を使いこなし、企業の出世階段を順調に上っている人であることを示す象徴であった。

 PCが世の中からすぐに忘れ去られる一時的流行でないことは明らかだった。PCは、人々が業務をより迅速かつ効率的に処理するための新しい方法を絶えず見つけ出すことを可能にするツールだったのである。次から次へと押し寄せる新技術の波は、PC革命を1980年代から1990年代、そしてWorld Wide Web初期の時代へと継続させた。

 パーソナルコンピューティングというコンセプトは今日に至るまで色あせることなく、インターネットという形で続いている。インターネットは全世界と意のままにつながる手段となり、デスクトップ、ノートPC、ネットブックあるいはスマートフォンさえ手元にあれば、ありとあらゆる情報やサービスをクリック1つで手に入れることが可能になったのだ。

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