SMBの今年の優先課題は仮想化とSaaS――Microsoftの調査IT統合も

Microsoftが各国の中堅・中小企業を対象に実施した調査の結果、各社の2009年の優先課題はセキュリティ、仮想化、IT統合であることが分かった。

» 2009年03月26日 15時30分 公開
[Nathan Eddy,eWEEK]
eWEEK

 Microsoftは3月25日、中堅・中小企業(SMB)が向こう1年間に直面するビジネス上のチャレンジと技術面での優先課題に関する調査結果を公表した。この「Microsoft SMB Insight Report」は年1回発行される予定で、今回が第1回目となる。この調査では、SMBにとって2009年に優先すべきIT投資分野は、仮想化、IT統合、ビジネスインテリジェンス、SaaS(サービスとしてのソフトウェア)、リモートワーカーのサポートであることが分かった。

 この報告書は、5カ国にわたる600人余りのMicrosoftスモールビジネススペシャリストを対象とした調査の結果をまとめたもの。同社によると、SMBにIT投資を促している主要な要因は、収益の減少、大手企業との競争、全般的な景気悪化であることが調査で明らかになった。多くのSMBはこういった懸念に対処するために、収益改善に直結するIT投資を重視している。具体的には、運用コストの削減、従業員の生産性の改善、顧客の獲得/維持などを目的とした投資である。

 Microsoftのワールドワイド・スモール/ミッドマーケットソリューション&パートナーグループのコーポレート副社長、エドゥアード・ロシーニ氏によると、SMBは世界経済で非常に重要な役割を果たしており、その「情熱、回復力、革新性」ゆえに景気不安定な時期から最初に抜け出すことが多いという。

 今回の調査では、回答したスモールビジネススペシャリストの半数が、運用コストの削減につながる可能性が最も高い技術として、中小規模のサーバを利用した仮想化あるいはIT統合を挙げた。Microsoftでは、SaaSを利用するSMBの数が今年は20%増えると予想している。

 グリーンITの分野では、SMBが2009年にグリーンITへの投資を増やすと予想したスモールビジネススペシャリストは約3分の1にすぎなかった。2009年には、IT統合、仮想化、モバイルソリューションといった収益直結型のIT支出が優先するものとみられる。

 調査に回答したスモールビジネススペシャリストの40%近くは、ビジネスインテリジェンス(BI)への関心が高まるとみており、BIは顧客満足とロイヤルティの向上につながる重要なツールであるとしている。また回答者の半数以上が、SMBのリモートワーカーの数が増加すると予想している。そして60%近くの回答者は、リモートワーカーの増加という動きは、社外勤務する個人の役割と責任の増大につながると考えている。

 この調査では、2009年にはSaaSを利用するSMBが、今年初頭の66%から年末には86%と20ポイント増加するという予測が示された。セキュリティも優先課題と見なされており、特にITセキュリティポリシーの適用とセキュアなデータストレージに対する需要が高かった。

 調査報告書によると、SMB各社はコスト削減の手段として、従業員の削減(67%)、ITコストの削減(64%)、出張の削減(34%)などを実施するとともに、コスト削減と運用の効率化を目的としたIT投資に目を向けている。各国のSMBの40%は、コストの削減、プロセスの効率化、従業員の生産性の改善などを狙って向こう3カ月間でITの利用を拡大する方針を示している。

 AMI-Partnersの業務執行ディレクター、スティーブ・レイノルズ氏は「SMBは以前から景気後退という状況には、コストの削減と顧客関係の改善を目指してITの利用を拡大するという手段で対処してきた」と話す。

 「SMBが以前と同じやり方で今日の危機に対処するのであれば、運用コストの削減、従業員の生産性の改善、顧客との関係の緊密化という成果を数年先に手にするために、多数のSMBが今後、IT投資を進めるものと期待できる」(同氏)

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