だが、それを補って余りあるのが、最近問題となっているマルウェア検出率だ。米NSS Labsの実験結果によれば、IE 8のマルウェア検出率は69%と、他のブラウザに比べてはるかに高い結果を出したのだ。IE 7は4%。対策がされていないのと同じような状態だ。ほかのブラウザと比較しても高く、IE 8に次いでいるFirefox 3でも30%だった。以下、Apple Safari 3は24%、Google Chrome 1.0.154は16%、Opera 9.64は5%という検出率だったという。また、IE 8は安定性も優れているという。
ただし、これらはセキュリティ対策ソフトを導入することで、ある程度のガードができる。確かに、ブラウザ自体で防御できればそれに越したことはないが、決して万全ではない。対策がなされていると評価されたIE 8でさえ69%の検出率だったのだ。新しいブラウザが誕生すれば、そのすき間を突いたものが出現する可能性もある。常にイタチごっこならば、ユーザーが意識して自己防衛するしかないのだろうか。
ネームバリューが高く、いまだに多くのユーザーを抱えるIEの新バージョンがリリースされたことで、間違いなくブラウザ戦争は新たな局面を迎える。それは、IEがほかのブラウザに追いついてきたことにより、ブラウザ間での競争が激しくなる可能性があるからだ。それなりにPCを使いこなしているユーザーならば、ブラウザの乗り換えなども、ためらうことなく行うだろうが、会社のPCなど自由に変更できないケースでは、やはりブラウザにはIEを導入しているところが多いはずだ。
確かに、最近はFirefoxなどのブラウザがユーザーを増やしている。しかし、自分のWebサイトやブログのアクセス解析を見ても、ほかのブラウザも数は増えてはいるものの、やはりダントツで多いのはIEである。
IE 8の登場で、これまでIEの弱点とされてきたところを遅ればせながら補強してきていることを考えると、ほかのブラウザにユーザーを奪われていたIEの巻き返しも十分にあり得る。当然、ほかのブラウザも黙ってはいないだろう。IEが追いついてきたと同時に、ほかのブラウザはその先を見据えているのは間違いないところだからだ。
2009年は、ブラウザ戦争の新たな局面を迎えるターニングポイントの年になるのかもしれない。
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