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» 2009年03月31日 08時22分 公開

短期集中連載 ニッポンのブロードバンド基盤:定額給付金もいいが今こそ純粋なインフラ投資論が必要 (3/3)

[境真良,ITmedia]
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政策論を矮小化させてはならない

 だが、政府からはこういう話は聞こえてこない。なぜだろうか?

 ここからはやや推測もあるのだが、理由の1つは総務省とNTTの「戦い」が尾を引きすぎていることにあるのではないか。「規制官庁である総務省 vs. かつては事業官庁であり今も基幹事業者であるNTT」という構図は、そのNTTに依存しつつ、その統御を総務省に期待する関連事業者の存在もあって、わたしたちの中に深く染みついている。

もちろん、これは1つの見方でしかない。だが、第1回で指摘したように、幻想は共有されることで現実になるわけで、そういう意味では、その責任の一端は、この「総務省 vs. NTT」という関係をまるでプロレスの試合のように楽しんで見てしまいがちな、わたしたち国民や、マスコミにもあるかもしれない。

 別の理由としては、「民活」「規制緩和」そのものが「慣習」となってしまったことも挙げられるだろう。官僚は予算や法律作りを目指して仕事をするので、一度それが慣習となればそれを覆そうとはしない。

「国家的光ファイバーインフラ事業」などといえば、時代に逆行している(またはそう世間に思われる)といわれ、それだけで官僚の仕事としてのコストパフォーマンスは悪くなる。あえて新奇な政策をとって失敗したら、その責任を逃れることもできない。だから、スマートな官僚ほど、こうした思考転換的な政策はとらないものだ。

 だが、政策論をそこで終わらせてはならない。民活、規制緩和の中にある官僚の権益を拡大させてはいけない、という考え方を堅持しつつ、しかし、形式的な民活や規制緩和にこだわらず、国民経済のサイクルをより成長的な形で維持するために政府は何ができるか(何をしないか)、ということについて、原理原則に基づいた政策論が必要なのである。

 その視点から、国家的光ファイバーインフラ事業を括り出し、推進するという選択肢は真剣に議論されてよいと思う。皆さんはどのようにお考えだろうか。

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著者プロフィール:境 真良(さかい まさよし)

1968年東京生まれ。93年、東京大学法学部を卒業して通商産業省入省。2001年より経済産業省メディアコンテンツ課課長補佐、東京国際映画祭事務局長、経済産業省情報政策ユニットプラットフォーム政策室補佐、早稲田大学大学院GITS客員准教授などを務める。国際大学グローバル・コミュニケーション・センター(GLOCOM)客員研究員。専門はコンテンツ産業論、情報社会論。


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