Novellの新データセンター構想「Service-Driven Data Center」SUSE Linux Enterprise Server 11が中心

HP、Sun、Cisco、IBMといった大手がそれぞれにテーマを掲げた戦略を推進している中、Novellが打ち出したテーマは「Service-Driven Data Center」だ。同社が最近発表した「SUSE Linux Enterprise Server 11」OSがその中心となる。

» 2009年04月15日 07時00分 公開
[Chris Preimesberger,eWEEK]
eWEEK

 エンタープライズITシステムプロバイダー大手各社は、潜在顧客に対して自社の企業イメージを植え付けるには、販売・マーケティングの軸となる包括的なテーマあるいは戦略を持たなければならないと考えている。

 Hewlett-Packard(HP)には「Adaptive Computing」構想がある。Sun Microsystemsは以前から「Open Systems」というアプローチを展開している。Cisco Systemsは最近、「Unified Computing」戦略を発表した

 IBMも以前から、こういった戦略を幾つか推進してきた。同社が数年前に提唱していた構想の1つが「オートノミックコンピューティング」(自己監視・自己修復型コンピューティング)である。昨年のテーマは「Information on Demand」だった。そして同社は今年、「IBM Blue Cloud」というテーマにフォーカスしている。

 今度はNovellの番だ。オープンソースOS企業である同社が4月11日にeWEEKに語ったところによると、同社は販売・マーケティング戦略の要となるテーマとして「Service-Driven Data Center」という構想を推進するという。同構想の中心となるのは、3月24日に同社が発表した「SUSE Linux Enterprise Server 11(SLES 11)」OSである。

 これは基本的に、Novellが最近取得した企業(PlateSpinとManaged Objects)の製品をデータセンターマーケティング戦略に組み込む準備が整ったことを市場に示すメッセージだといえる。

 この分野では多数の競合企業が存在する。データセンターが企業のような体裁を整えるようにすることが、潜在顧客に訴求するポイントだと同社は考えているようだ。

Service-Driven Data Centerとは何か

 データセンターはそもそも、それを配備している企業が自社に提供するサービスである。では、Novellの「サービス指向のデータセンター」の特徴はどこにあるのだろうか。

 Novellで製品マーケティングディレクターを務めるリチャード・ホワイトヘッド氏は、eWEEKの取材で「多くの企業は既に、そのゴールに向かって動き始めている」と語っている。

 「当社のサービス指向データセンターというコンセプトは、特にビジネスユーザーが必要とするサービスを提供することを狙ったものだ。IT部門がサービスプロバイダーになるという考え方がその中心にある。その場合、データセンターが社内にあっても、クラウドコンピューティングのように社外にあっても構わない。ただし、クラウドはまだ幼年期にある」(同氏)

 ホワイトヘッド氏によると、真にサービス指向のデータセンターとは、俊敏性と柔軟性を提供しながらも、データのコントロールを維持できるものであるという。

 「わたしはよく顧客に“影のIT部門”の存在について話す。例えば、新しいiPhoneを買った上司がIT部門のところに行き、“わたしの電子メールアドレスをiPhoneで利用できるようにしてほしい”と言ったとする。IT部門は“申し訳ありませんが、iPhoneはサポートしていません”と答える。すると上司は“それは困ったことだ。それでは、以前に別のサービスを用意してくれた連中に頼むことにしよう。連中ならメールの同期化もやってくれるはずだ”というわけだ」とホワイトヘッド氏は説明する。

 「IT部門はそこで初めて、“影のIT部門”の存在を知ることになる。ユーザーが求めるサービスをIT部門が提供していないからだ」(同氏)

3つの特徴

 ホワイトヘッド氏によると、サービス指向のデータセンターには3つの主要な特徴があるという。

 「まず、それはきちんと構築されている必要がある」とホワイトヘッド氏は語る。「複数のOS、ハイパーバイザー、仮想化技術、クラウドコンピューティングなど多岐にわたる技術に対応していなくてはならないのだ。それに当てはまるのが、当社のSUSE Enterprise Linux 11だ。UNIX、Windows、VMwareのほか、多数のアプリケーションやレイヤーと相互運用性があるからだ」

 「次の特徴は、われわれが“Manage”(管理)と呼ぶものだ。社内のハードウェアおよびソフトウェアの資産管理をサポートする管理システムが必要なのだ。この機能を提供するのが当社のPlateSpin製品だ」と同氏は語る。

 Novellの「PlateSpin Workload Management」ソフトウェアは、VMware、CitrixあるいはMicrosoftの仮想化レイヤーを利用し、データセンター内のすべてのサーバの最適化、負荷分散、保護を行う。

 最後のピースは、Novellが“Measure”(測定)と呼ぶ要素だ。

 「これに関連するのが、最近買収したManaged Objectsだ。当社のビジネスサービス管理技術がそこで重要な役割を果たす。当社独自のアドバンテージは、複数のプラットフォームとハードウェアタイプに対応できるという点だ。測定ができなければ、必要なサービスを提供しているかどうか判断できない」とホワイトヘッド氏は話す。

 SLES 11、PlateSpin、Managed Objectsという3つのデータセンターコンポーネントは、既に利用可能となっている。詳細はNovellのサイトへ。

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