ありふれた商品でもカテゴリーキラーになれるキラーウェブを創る(2) ケンコーコム(1/4 ページ)

ネットの世界で勝ちパターンを見つけるのは簡単なことではない。ケンコーコムは、健康商品というありふれた商材をどうネットで売るかについて試行錯誤を繰り返すことで、Webサイトを「キラーウェブ」に育て上げた。

» 2009年05月29日 08時00分 公開
[前野智純,ITmedia]

キラーウェブを創る

ライバルがひしめくネットの世界を生き残っていくには、Webサイトを「キラーウェブ」に育て上げる必要がある。キラーウェブとは、何らかの要素で「一番」を持ち、それがユーザーに支持されているWebサイトのことを指す。本連載では、ECサイトを成功に導いた企業の試行錯誤を基に、勝ちパターンを探っていく。

バックナンバー

(1)キラーウェブでなければ生き残れない

(2)ありふれた商品でもカテゴリーキラーになれる(ケンコーコム)

(3)「言葉の市場」を攻略するニッチターゲティング(ネットオフ)

(4)自社をメディア化する「Web情報武装」の正体(ゴルフダイジェスト・オンライン)

(5)商品の質こそがキラーファクターになる(オイシックス)

(6)Webと実店舗の共食いを超えた先(良品計画)


 エジソンは白熱電球の発明に当たり、フィラメントに合う素材を見つけるまでに数え切れない失敗をした。それを乗り越えられたのは、失敗を「小さな発見」ととらえていたからだという。つまり、フィラメントに合わない素材を発見するたびに、「新たな発見をした」というわくわく感を感じていたのだ。

 そんなエジソンも、失敗をしたときは恐らく相当落ち込んだのではないかと推測する。ただ、ひとついえるのは、「決してあきらめない」という人並み外れた意志を持っていた。一種の「しつこさ」ともいえるこの意志は、一代で企業を上場させるような成功者が共通して持っている特徴である。

 ネット関連の企業は、こうした泥臭いストーリーとは無縁であるかのように思われがちだが、決してそんなことはない。むしろ、市場が成熟していない黎明(れいめい)期からビジネスを展開している企業は、例外なく数多くの失敗を経験している

 失敗の連続を乗り越えることが成功までのプロセスをもたらし、自社の勝ちパターンを見つけることにつながる。失敗とは、あきらめてしまった時に初めて失敗になる。「あの企業と組んでこういう仕組みを作ったら、さくっと売れる」といったネット系企業の人によく見られる感覚には、強い違和感を覚えてしまう。

 健康関連の商品のネット販売でナンバーワンの実績を誇るケンコーコムも、事業の立ち上げ当初は苦難の連続だった。出す広告が見事にはずれ続け、商品が売れず、資金が底を尽きかけた……。ITバブルが崩壊し、普通ならあきらめてしまうような状態が続いたが、ある時期を境に一気に成長曲線に転じた。

 キラーウェブとは、どこにも負けないナンバーワンの要素を持ち、それがユーザーから支持を集めている圧倒的な存在のサイトのことだ。ケンコーコムも、自社なりの勝ちパターンを見つけるまでの数年間は、キラーウェブとは程遠いサイトだった。そのケンコーコムがどのようなきっかけで勝ちパターンを見つけ、キラーウェブになったのかを見ていこう。

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